怨み、買います



首に填まった爆弾付きの首輪が苦しくて軽く引っ張ると、がしゃ、と重々しい手枷が音を立てた。


「かーっ!テメェ、また来たのか!無駄金払わせるんじゃねぇよ」


どんよりと暗い牢の中で、星形のサングラスが光る。
名前は忘れたが、毎回人間オークション経由でドフラミンゴに会いに来るので、司会者である星形サングラスには顔が覚えられている。

売れもしないのに買わされたことに毎回腹を立てているが、それなら買取をしているやつに写真でも渡していればいいと思う。それをしない星形サングラスはやっぱり馬鹿だ。


「Mr.ドフラミンゴに連絡しろ。鍛冶屋を買ったと言えば伝わる」


盛大にため息を吐きながら商品リストにチェックを付けた星形サングラスは、商品にはならない人間には一切興味がないらしい。
一蹴するように鼻から息を吐き出して、立ち去っていく。

そんなに買取額は高くはなかったはずだが、余程損をしたことが悔しかったらしい。金ならドフラミンゴが吐いて捨てるほど持っているのだから、補填してもらえばいいのにと思う。


首に填まっている首輪がどうも気になって、グイグイと引っ張りながら周りを見渡すと、人生終わったような顔をして俯いている人間がたくさんいた。
理由は至って明快。ここから売られればただのモノに成り下がるからだ。
人間である尊厳や人権なんてものは認められず、命を玩具同然に扱われる。それが人間オークションだ。


大概ドフラミンゴの趣味の悪さがわかる。勿論こんなものの存在を認めている海軍も一緒だ。

認めているのは政府、というよりは天竜人なのだが、独立出来ていないところがもうどうしようもない。天竜人イコール正義という方式が成り立ってしまっている。


「アンタ、ドフラミンゴの知り合いなのか?」

「俺達を解放してくれるように言ってくれよ!」


青ざめた顔でつぎつぎと口を開く人間が詰め寄るように近づいてくる。と言っても見張りがいるのでそこまであからさまではないが、とにかく必死なことだけは読み取れる。


「アンタ達助けたら私が死ぬわ。人を犠牲にして生きようとか、馬鹿なの?死ぬの?」


ぼそぼそと呟きながらすがり付いてくる人間に、盛大に舌打ちをした。多分死んでからも恨まれること間違いなしだ。














怨み、買います


「おい、名無し。釈放だ」

「はいはい」

「次無駄金使わせたら本当に売り払うからなテメェ」





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