常に背水



「海軍!?」


驚いたようなシャチの声を聞くのは悪くはない気分だが、縄で拘束されているのあまり気分がいいものではない。


「どう見ても名無しは海賊だろ。顔的に」

「誰が悪徳面だゴラァ!」


ローに海軍だということがバレてしまい、拘束されてしまったのだが左手は返してくれた。
悪いヤツなのかいいヤツなのかよくわからないが、とりあえず部品が全部揃ってよかった。
ただ、このまま海に放り出されたら間違いなく死ぬが。


「ごめんねキャプテン……名無しが海軍に入ったなんてボク知らなくて。言われるまま船に乗せちゃうなんて」

「弱い海兵が何人入り込もうが別に支障はねェ」


申し訳なさそうに俯くベポを気遣ってなのか、ローはどうでも良さそうな顔で呟く。

流れ的に名無しが無理矢理乗せてくれと頼んで乗り込んできたみたいだが、ベポが半ば無理矢理乗せたのを忘れないでほしい。
名無しにしては珍しくかなり遠慮した。



「名無しは海軍より海賊の方が向いてる気がするけど」

「よく言われる!」

「正義の味方って顔付きじゃないわな」


諭すようなペンギンにシャチがうんうんと激しく頷く。
大抵どこにいっても同じことを言われるが、ぶっちゃけ海軍には思っているほど爽やかなヤツは存在しない。

大将からして悪徳面だし、正義感に溢れた顔をしているのは三等兵の一部とたしぎぐらいだ。

長年海賊と対峙していると似てくるんだろうと思う。


「お前らは海軍に希望を詰めすぎだ!海軍なんて政府に認められた公認の海賊みたいなもんだぞ!」

「それを海兵が言っていいのか?」

「バレなきゃ大丈夫」


モゾモゾと身体を動かしながら適当に頷いた名無しは、絶体絶命状態なのにわりと平然としている。

これも一重に周りにいる化物じみたやつらのおかげだろう。いつ死んでもおかしくない状態に神経が慣れてしまっているんだと思う。


「なにそれ。なんかお前、怖い。怖いっていうかキモイ」

「キモイは関係ないだろ!?」











常に背水

「そもそもローが殺す気があるならもうバラバラで海の底だよね」

「それは否定しない」




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