もう少し頑張りましょう



コツコツと窓を叩く音が聞こえて視線をそちらにやると、窓の外にはニュース・クーが手紙を持って嘴で窓を叩いていた。


「よし、じゃんけんしようか」

「また?この間もじゃんけんだったじゃない」

「この間もクソもあるか!毎回じゃんけんするに決まってんじゃん!」


早く早くと手を上げる名無しに、眠そうに目を擦ったクザンは欠伸で返した。


「後でジュース奢ってあげるから取ってきて」

「ラジャー!」


クザンの一言に颯爽と立ち上がった名無しは、さっきまでのダルそうな態度とは違いきびきびと窓に向かって歩く。
そして窓の外に待ち受けていたニュース・クーから手紙を受け取り宛先を確認する。

以前確認せずにクザンの机に放置していたらボルサリーノ宛が間違って届いていたらしく、一週間後にそれが発覚。死ぬほど怒られた。

その後に思ったのだが、そもそもクザンの部屋に来た手紙を代理で受け取って机に置いただけな名無しと、手紙を一週間放置したクザン。どう考えてもクザンに非があると思う。
終わったことなのでそのときは諦めたが、その事件があってからは無条件に手紙を受けとるのをやめた。


「……あ」


手紙の宛先を確認した名無しは封筒の裏を確認して名前を見る。そこには簡単にレイとだけ書いてあった。

宛先がクザン付きの名無しになっているところからして腹黒眼鏡の性格の悪さを改めて実感した。


そもそも何故名無しがクザンの下に付いていることをレイリーが知っているのかが謎だ。
どこまでも食えない爺さんである。


「手紙、名無しちゃん宛?」


無意識に舌打ちをして眉間に皺を寄せた名無しにクザンがダルそうに首を傾げる。


「そう。悪魔から地獄への招待状が届いた」

「どうしたの?もしかして漫画の読みすぎ?」

「違う。そういうお年頃なの」

「あららら、そりゃあ難儀な年頃だね」


呆れたように笑ったクザンは、今にも握り潰されそうな手紙を見て肩を竦めた。
そしてポリポリと額を掻いて目を細める。


「もしかして名無しちゃんのパトロンから?」

「パトロンって言うな!寒気がしすぎて凍死する!」

「まさかその相手って海賊じゃあないよね」


探るようなクザンの言葉に名無しはぎくりと肩を揺らして手紙を握り潰した。


「なっなな、そ、そそんなわけないじゃん!」

「名無しちゃん、それってわざとなの?」










もう少し頑張りましょう


「海賊とか!海賊とか!そんな馬鹿な!」

「わかったから落ち着きなよ」



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