気分は友達



気がついたら後ろからドフラミンゴがついてきた。ある意味怖い。


「どこまでついてくんの?嫁の鰐はどうした」


ホウキやら雑巾を詰めたバケツをがちゃがちゃと鳴らしながら早足で歩く名無しの後ろをゆらゆら揺れながら歩いてくるドフラミンゴは軽く首を傾げた。
ピンクの案山子に見えるのは多分無駄に高い背と不規則に揺れる人間らしからぬ身体のせいだろう。

とりあえずどこまでも人間離れし過ぎていて、怪鳥を見ている気分にすらなってくる。



「お前、鰐野郎のニュース見てねぇのか?ついこの間ド派手に捕まったじゃねぇか」


フッフッフッ、と肩を揺らしながら愉しげに笑うドフラミンゴだが、クロコダイルとはゲスさが似ていて仲がよかった印象が強い。プライドが高くて金持ちで、考え方が自分本意な上にそれが最も正しいと思い込んでいる感じの二人は、なんだかんだで話が合っていた。
勿論馬鹿みたいな言い合いも多かったが。


「ちらっと見たよ。モクモクさんが捕まえたんでしょ。なんかよくわからんけどやっぱり鰐は悪いことをしてたんだな」


まさか悪どい金貸しレベルではないと思っていたが、王下七武海でも見逃して貰えないような薄暗いことをしているとも思わなかった。
否、ぶっちゃけそこまで興味がなかったと言った方がいいかもしれない。


「フッフッフッ、鰐野郎が海軍なんかにやられるわけねぇだろ?あんなあからさまな隠蔽するってことは海軍にとって不都合な存在がいるってことだ」

「え?ごめん、ちょっと話が難しくてついていける気がしないからどっかに穴掘ってそこにお願いしていい?」

「鰐野郎は海賊にやられた。しかもほぼ無名に近い奴等だ」


長くなりそうだからと回避しようとしたのだが、それを悟ったドフラミンゴは簡潔に答えを明かして、手配書を数枚名無しの顔面に押し付けた。
古くさいザラ紙のような匂いと、ドフラミンゴの南国系の香水が混ざって変な匂いが鼻についた。


「モンキー・D・ルフィ?ああ…麦わら少年か」


賞金の額的には確かに無名に近いが、コビーからは色々聞いていたし、ガープの孫だとも聞いていたので名無しの中ではすでに有名人だ。
海賊らしからぬ無害な海賊だと言うので一部海軍よりはよっぽどマシだろう。


「フッフッフッ、知り合いか」








気分は友達


「こんな温厚そうな子を怒らせるなんて鰐野郎は本当に悪いやつだな」

「そこか」




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