だだっ広い部屋に高そうな会議用の大きなテーブルが一つ。
他にも高そうな調度品がちょこちょこと置かれているが、こんなに広い部屋である必要性が全く見当たらない。
そしてそんな無駄に広い会議室を一人で掃除させる意味もわからない。
勿論会議室は外部の人間も使うので毎日きちんと掃除はされているのだが、今日は会議があったらしくカップやら茶菓子を食べたゴミが落ちている。
会議をしていたところにたまたま掃除用具で野球をしていた名無しの投げた魔球、正確にはたわしが飛び込んだらしい。
それで罰として会議終了後の部屋の掃除を言い渡されたのだが、正直な話掃除は全く進んでいない。
だいたい野球をしていたと言うことは少なくても何人か一緒にしていたということだ。
それなのに何故か魔球を投げたとか意味がわからない理由で全責任を押し付けられたのだからたまったもんじゃない。
打つまでは屑玉だとかへなちょこボールだとか好き勝手言っていたくせに、会議室に飛び込んでいくのをみた瞬間がらっと言い分を変えた。
「あーあ、まじやってらんねー!つかなに?なんで茶飲まないの?飲まないなら出すなよ!経費の無駄遣いだろ!」
無駄に高そうな椅子に腰掛けた名無しは、注がれっぱなしになっていた手付かずの冷めたお茶を飲んだ。
衛生的に育っていないのでぶっちゃけ泥が入っていてもあまり気にしないで飲める。寧ろお偉いさん達はもっと泥水を啜るべきだとも思う。
形だけ持っていた箒を放置して椅子をガタガタ傾けながら寛いでいた名無しの上に大きな影が落ちてくる。
それと同時になんだか南国系の匂いがした。
「フッフッフッ、お前こんなところでなにやってんだ?」
「あー…ドフラだ」
「呼び捨てにするんじゃねぇよ。仮にも取引先様だろうが」
「なにが取引先様だ馬鹿野郎!人が作ったもん勝手に転売しやがって!」
ピンクのもふもふの上着に身を包んだドフラミンゴとは昔の仕事柄の腐れ縁だ。
と言うかそもそもの元凶は全てこの目の前で不敵に笑うこのドフラミンゴのせいなのだ。いつ誰に刺されてもおかしくない男、それがこの暢気そうなやんちゃ系オッサン、ドンキホーテ・ドフラミンゴ。
ここの屋敷のメイドはやたら可愛い。
ピンクのやんちゃ系オッサン
「私海軍だからね、言っとくけど正義の味方だからね!」
「フッフッフッ、なんの冗談だそりゃあ」
prev next
96