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「気持ちいい」




 そう言うと満足そうに微笑んで、動きを早める。肌と肌がぶつかる音だとか、荒くなった息遣いだとか熱くなる体温が好き。セックスのときだけは普段の君じゃ想像もつかないような顔をたくさん見せてくれる。バスケしてる真ちゃんも好きだけど、このときだけは私のものだ。私しか知らない。





「…あっ、」
「何を、考えてる…っ」
「ん、生きてる、なぁって」
「…はっ」





 あーその笑い方好きだ。写真に収めたいくらい。真ちゃんに言ったら絶対怒るだろうから言わないけどね、高校の恋愛なんて長続きしないんじゃないかって思うんだ。いくら好きでいてもずっと一緒は無理だ。きっと。真ちゃん頭良いから私よりランク高い大学に行くだろうし、私は大学に行けるかどうかもわからない脳たりん馬鹿たれだし。遠距離で続くわけもないよ。未来の保証もないのにさ。だから今のうちに思い出に残しておく。まぶたを閉じたら褪せることなく鮮明に思い出せるように。お手本みたいなペンの握り方、目を伏せたときのまつげの美しさ、私を呼ぶ声、好きだと言うときの表情、並んで歩くと遠慮がちにつないでくれる手の温かさも全部。





「真ちゃん、好きだよ」
「…ん、知っているのだよ」




 このまま時間が止まればいい。




130429 amo
焼きつける


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