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 手繋ぎますか、横にいる彼が小さな声で囁いた。その言葉が女慣れしてるみたいに聞こえると冗談半分で言ったら眉にシワを寄せて黙ってしまった。でも言い返さないってことはたぶんそういうことなんでしょ。木手くんかっこいいもんね。シーツを手繰り寄せ体に巻きつけるとその冷たさに身震いした。さっきまで熱かったのに、私の体はすぐ冷える。




「……寒いですか」
「ちょっとだけ」




 腕枕をしようと上げた左腕をそっと制す。あ、またむっとした。この人こんなにわかりやすかったっけ。




「…何なんですか」
「腕、痺れちゃうからいいよ」
「大丈夫ですよ」
「その代わり、これぎゅってしててもいい?」




 嫌だって言われても離さないけどね。めちゃくちゃあったかいし。変な人ですね、と木手くんが笑う。その顔好きだな。優しく髪を梳いてくれる手が気持ち良くて、この手を握って眠れたらどんなにいいか。でも手を握って寝るのは嫌なの。起きたときに離れてたら寂しくなるから。言ったらそんなこと気にしなくても離しませんよとか言ってくれるのかな。そしたら嫌だな。寂しさが倍増しちゃうじゃん。





「腕だけでいいんですか」
「いいよ」
「……手、繋ぎませんか」
「なんで」




 じっと見つめると薄暗い部屋の中でもわかるくらい彼の顔が赤くなる。え、え、そんな顔されたら困るよ。





「あなたと手を繋ぎたかったんです」
「……そんなに?」
「悪いですか」




 もういいよ。降参です。もし起きて離れてたらまた繋げばいいだけだ。固く繋いだ手はとてもあったかくて、力強く好きだと言われている気がした。




130424 amo
切って紡いで
(リクエストありがとうございました!)
 


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