main* | ナノ
 彼女が横たわっているのを見て、その横に散らばった大量の睡眠薬を見て、俺はとにかくほっとした。そして絶望した。好きなのに、愛しているのに、君に生きていてほしかったのに。ああ、やっと死んでくれた。と涙を流して喜びそうになるほど安堵した俺。虚ろな目をして彼女が言う。





「死ねばいいのに」
「やだね」




 絶対に嫌だね。あんたじゃあるまいし、簡単に死ぬもんか。指ひとつ動かすのも辛そうで、体を起こしてから彼女は前後にふらふらと揺れていた。




「薬じゃ死ねない」
「……そっか」
「残念?あたしが死ななくて悔しい?」
「そんなわけ、」



 あるに決まってんじゃないっすか。俺はあんたに苦しめられてんだ。帰ってきてあんたが死んでたら、と思うと帰りたくないんだ。電話もメールも何かのメッセージが含まれてんじゃないかって、着信が鳴るたびに生きた心地がしなくて、あんたを笑わせるために作った笑顔張り付けて明るい声で馬鹿みたいに笑うの、正直疲れてんだ。でも、俺はあんたが好きだから。




「もういいよ」




 もういいよ。いいよ。あたしちゃんと死ぬからさ。全部、もういいんだよ。涼太が後味悪くないように言っとくね。最後にこれだけは信じてね。




「あたしは涼太がそんなに好きじゃなかったよ」




130417 amo
あなたは最低の嘘つき人間 


×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -