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 月の光は人を惑わす、と言うけれど。空の青さも人を狂わす、と俺は思う。なんだってこんな世界潰れてしまえばええのに。と思いながらビール缶を握りつぶす。酔いたくとも酔えない、辛さ。死にたくても死にきれない、弱さ。起きて、電車に揺られて仕事にいき、たくさんのストレスを溜めこみながら働き、電車に揺られて帰る。同じことの繰り返しで頭が可笑しくなりそうや。俺は今までどうやって生きていたんだ?




「おじさん疲れてんの?」
「……関係ないやろ」




 ストレス発散といえばコンビニのゴミ箱に飲みかけの液体垂れ流すことくらい。我ながら頭がおかしい。いや、だいぶキテるとは思っとる。でも止められない。誰か止めてくれと思っとったら、いきなり声をかけられた。馬鹿みたいに短く折り曲げた制服のスカート。裾が伸びきったセーター。下手くそな化粧を施した、どこにでもおるような女子高生に。




「関係ないけど、やめとけば?迷惑だし」
「せやな」
「ストレス溜まってんの?」



 こくり、頷く。ストレス、鬱憤その他もろもろ。ああ、溜まっとる。死にたいくらいにははちきれそうに押しつぶされそう。とか、いい年してこないなこと考えてる俺が死ねっつーかなんつーか。お前も、何しとんねん。まとまりつく体を押し退ける。




「…そういうことやないんやけど」
「えー?でもほら生きてるって感じ、するかもしんないよ?安くしとくし」
「あほちゃう」




 若いからって何でもええわけないし、犯罪やんか。そういう気分、ならんと思うし。そんなに大きくない胸を手に押しつけられる。はは、馬鹿みたいやな。お前も俺も。




「ね、おじさん。生きてるでしょ」




 心臓の鼓動と生身の温かさ。だからなんやっちゅーねん。




130417 amo
クズはゴミ箱に


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