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 ちと、ネジの外れた先輩は人をイラつかせる天才や。あの人の存在自体がイライラすんねん。ほんまうっとい。視界に入らんでほしいのにいつも俺の視界をちょこまかする。ほんで俺に嫌われてるのも知らんで目が合えばへらへら笑って駆け寄ってくるんや。うっざ。




「財前やっほー!!!」
「うっさい。あっち行ってください。」
「そんな照れんでもええやんか〜」




 この態度を照れ隠しやと思っとる先輩はバで始まってカで終わる類の人間に違いない。最初に顔見たときからわかっとったけど。てかスカートあほみたいに短いな。走ったらパンツ見えるんちゃう?





「ぎゃ!何すんねん!」
「あほみたいなスカート丈してはるから、むしろ捲ってほしいんかと思うて」
「んなわけあるか!!」





 じゃあ下げろや。先輩の手で払われてスカートの裾が揺れる。俺がつまんだところに皺が寄っているのを見て、胸がざわざわしたり。





「財前のいじめっ子〜」
「どっちかと言うとそうっすね」
「セクハラ〜」
「あんたの太い脚を見せられてる方がセクハラ受けとる気分っすわ」
「ひどっ」




 ほら、へらへら笑うだけで俺の言葉に少しも影響されない。そういうとこが嫌いなんですよ。俺はあんたに影響されてんのに。いらつく。どうやってもこの人の本心が見えない。





「ほんと財前は私が嫌いだね」
「っ、嫌いですわ。」





 先輩は鈍感やけど、まず俺がこんな態度とってるから伝わるもんも伝わらんわけで。嫌い嫌い言うてるけどホンマは嫌いやない、たぶん好きや。いやめっちゃ好きや。だからイライラすんねん。先輩の前で自分が思うように動けんで、言いたいことも言えんで憎まれ口ばかり叩いてしまうから。





「でも本当は好きだったりして?」




 覗きこんで俺を見つめる先輩が意地悪そうに、にいっと笑う。図星をつかれた。けどこれってとんでもないチャンス?一瞬にしてカラカラに乾いた喉で「そうですよ」とたった一言、認めてしまえば、





「…そ、「なんてねー!それはいくら何でもないよねー!」
「……」
「財前ごめ〜ん、調子乗ったわ〜。てか何か言いかけた?」
「…あんたなんか、」
「ん?」
「あんたみたいなアホでバカでどうしようもないデブス好きになるとか冗談きついっすわ。頭腐ってんとちゃいます?」





 死にたい。




130323 amo
思春期男子


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