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どうして好きになったかなんて、わかりません。ただ気付いたらどうしようもなく愛おしくて、心に触れたくて、恥ずかしくて情けなくて、あなたを好きになったことが嬉しくて泣けてくるのに、同時に不幸だとも思ってしまう。好きというものは辛さが大半を占めている。何度苦しんだことか、何度泣かされたことだろうか。さあ、どうしたらいい?山崎さん。あなたが理解してくれなかったら、応えてくれなかったら、力いっぱい憎んでしまうかもしれないよ。わたしはあまり大人じゃないから、好きになれただけで十分とは少しも思わない。意地も悪いし負けず嫌いだ。どうせなら私を好きになってほしい。っていうのは綺麗すぎる言い方だね。
正直なことを言おうか。
「あなたも恋する地獄におちてくれなきゃ気が済まない」
彼女が俺の好きな笑い方で微笑んでいる。綺麗だ。とても、綺麗。俺にはきっとこんな笑い方は出来ないだろうと思っていた。彼女の表情を動かすものは彼女の清らかな思想によるものだと勝手に決めつけていたから、まさか蓋を開ければ真逆のものが詰まっているとはね。俺と同じようなものじゃないか。顔なんて所詮ただの皮だな。君のそれはおれのと違ってとても綺麗な皮だけど。
ああ違うんだ。幻滅だなんてとんでもない。有り得るものか。だって、俺は君を好きになりすぎて君なら何だって許せるようになってしまったから幻滅なんてするはずないんだ。なまえさん。君がどんなに薄汚れた思想の持ち主だろうが、年老いて醜くなろうが、生まれ変わって人ではなくなってしまったとしてもあなたがあなたであるなら変わらず愛せる自信がある。
小指に誓って。
「もうとっくにおちてるよ」
130329 amo
あっそ