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さらさらなびく髪とか小さくて柔らかい手とか、ふとしたときの真面目な顔とか照れ顔に近い笑顔とか、いちいち挙げてたらまじキリがないんだけど、全部ひっくるめて好きーと感じる今日この頃。もしなまえが明日死ぬなら、どうかお願いします。今日俺を殺してください。
君がいなくなった世界に俺一人残されるなんて想像しただけで、ほら、
「……どうした、の?」
「んー」
悲しいことを考えてた。そしたら涙が出た。意味わかんないよね。今俺たちは繋がってるのに。幸せすぎて頭がおかしくなったみたいだ。汗ばんだ額に舌を這わせるとくすぐったそうに身を捩った。指先だけが不気味に冷たくて、なまえの手をぎゅっと握りしめる。この小さい手が潰れないように。
「あったかーい」
「敦は冷たいねぇ」
「いや?」
「ううん、気持ちいいよ」
つないだ手を頬にひっつけて、薄く笑う。
「好きだよー」
「うん」
「…なまえは?」
「好き」
たった一言で胸のあたりがぎゅうってなる。悲しいとか苦しいとか、そんな感情に似てるこれが愛しいっていう名前だって教えてくれたのはなまえ。俺の世界をつくった君が、全てを終わらせてくれるのを願ってる。
130307 amo
溺れるように愛した