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 ああもう何もかもめんどくさい。どうでもいい。爪を噛んだらマニキュアの匂いがして、だるさが余計に増した。きっと剥げた。あーあ、昨日塗ったばっかりなのに。イライラして不細工な顔が鏡にうつる。だっる。最近、思考とか表情とか口調とか、むっくんに似てきた気がする。…うっざ。うざいうざいうざい。みんな死ねばいいのに。とか意味なく思ってみたりして。物騒すぎるっての。日常がつまんなすぎるからこんなこと考えちゃうんだよね。だって元はいい子ちゃんですし、わたし。



「なまえがいい子ちゃん?は、ウケるー」
「ウケないし死ねば?」
「…は?」



 あちゃー、やーっちゃったよー。だっる。でもいいや。どうせあと何ヵ月もないうちにアンタらとはサヨウナラだし。数分前に話してた「卒業しても絡もー」とか(笑)嘘でしょありえないわ勘弁してよー願い下げ。無駄に濃い顔が歪んでる。アンタら全員ブス。(とか言う私もたいした顔してないけど)(アンタらよりはマシ)化粧の技術に感謝するべき。口開けば男、化粧、服、くだらない恋バナ。とにかく男。くそビッチ。まじ飽きた。ってわけで本音かましたらすっきりした。はは、明日から私ぼっちかも。ウケるけど全然よゆう。だって私むっくんいるし。



「捨てられるくせに」
「は?」
「アンタ置いて東京行くんだって、紫原」




 ざまあみろ、耳元で聞こえた嘲笑が嘘には聞こえなかった。え、まじで?


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