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どこから何が違ってきたんだろう。フェラをしながらふと思った。頭にそっと添えられた手がとても不快だ。てか、私本当はフェラとか死んでもしたくなかったはずなのに。なにこれしちゃってるじゃん。あり得ないキモいから。まるで別の誰かが私に乗り移ってるみたいな感覚。気持ち悪い。



「…ええわ」



それは良いってこと?それとも、もうしなくていいってこと?視線で訪ねると光は上体を起こして私の頬を撫でた。だからどっち。



「どういう風の吹き回しなん?」
「なにが」
「エッチしたないって言っとったやん」



…ああ。言ってもどうせわかんないくせに。私は光とセックスをどうしてもしたくなかった。それは別に光が嫌いとかじゃなくて、光とヤってしまったら、光が私の中の"どうでもいい男"にカテゴライズされてしまうからだ。私はヤると冷める。たとえどんなに好きだったとしても、ヤった相手を見下す。所詮オスかと思ってしまう。…何様って感じだよね。とにかくヤりたくなかった。それを振り切れなかった。心の端では私もまいっかって思ってたんじゃないかな。流されやすすぎる。違う、どうでもいいんだ。何もかも。



「なあ、何でなん?」
「…何か…」
「何か?」
「……光とエッチしたくなった」



どうですかこの一言が聞けたら満足ですか今すぐ死ね。舌を絡ませながら頭の言葉は溶けていく。てかおっ勃てたそれを寝たふりした私に押しつけてきたとか、まじないからね。折っていい?愛撫を受けながらこの男が消えればいいのにと祈っていた。口からもれる喘ぎ声は完璧に演技だった。本当は声なんて一つも出さない。それを「感じてないん?」と指摘したのは誰だったか。わからない。



「きっつ…」
「あっ!あんっ…んっ」



光がどうでもいい男になっていく。心が冷えていく。そもそも私は光が好きだったんだっけ?違う気がする。私は誰でもいいの?たぶんそう。思考する私と喘ぐ私は全くの別人のような気がした。どうしてこうなったんだっけ。心が悲鳴をあげるのを無視し続けた結果なの?最近ずっとこんなことをしている気がする。光とのセックスが終わったら、無性に虚しくて別の誰かにメールをする。そしてまた、繰り返し。私は何がしたいの?私は、私?
律動がどんどん早くなっていく。さよなら、光。



「イってええ?」



でも、光だけはどうでもいい男にしたくなかったなあ。



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