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「平介さんや」
「なあにー?」
「冷蔵庫あけっぱ」



ピーピー鳴る冷蔵庫を指さすとあぁねと呟いてへらり、薄ら笑い。次に言うことはわかってるから。



「嫌だよ」
「まだ何も言ってないのに」
「自分で閉めて」
「ちぇ」



高校卒業と同時に曖昧な告白をされて、平介の借りたアパートに住みついた。私は頭の出来がちょっと平介以上にアレでフリーターになって、進級も卒業も危うかった平介は大学生に。別に勉強きらいだから大学生とかなりたくもなかったけど、世の中間違ってると思う。平介が大学生とか。だって単位足りなくて何年大学生やるんだよってパターンでしょ。就活いつすんだよっていう。フリーターの私が言える立場でもないけどさ。



「平介さあ」
「さっむい」
「大学出て何すんの」
「えー…と」



一瞬大きく見開かれた目がせわしなく泳いだ。何その反応。こたつの中で平介の足を蹴る。あ、その顔平介になついてた子に似てる。平介の作るホットケーキが大好きで人見知りの激しい男の子。あの子最近見ないや。今いくつだっけ。とりとめのない事に耽っていると、あのさあと間延びした声。



「小学校の先生になりたいんだ」
「…誰が」



俺、といつものへらへら薄ら笑い。



「…まじで」
「うん」
「顔、まっかですけど」
「……恥ずかし」



顔を両手で覆って寝転がる平介にそっと近づく。うわ…耳まで真っ赤。恥ずかしい恥ずかしいと繰り返す平介が何か可愛くて真っ赤な耳にキスをした。



「…へーすけ」
「なにー」
「私応援するから」
「…ありがと」
「がんばってね平介先生」
「うん」



ああもう愛しいったら。






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