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あーあ。くだんないなあ、友達なんて。頬に手をあてればひやりとして気持ちよかった。熱い。腫れてる。何度も繋いだ友達の手にひっぱたかれる日がくるとは。



「最低」



友達が最後に吐き捨てた言葉をつぶやく。サイテー。私も友達もテンションも何もかもサイテーサイテー。スカートが風に捲られるのにも構わず私はブランコを全力で漕ぐ。風になりたい。もしくはそのへんの雑草でいい。そんな馬鹿なことを思ってしまうくらいに私は今落ち込んでいる。やさぐれている。友達とかいうシステム作ったの誰だよ。友情てなんだよ。馴れ合いの間違いじゃん。めっちゃ脆いし、くだんない。てか何がどうなって友達になったんだっけ?話したら友達?うっわ。そりゃありがちな誤解で滅ぶ友情ですねー。お疲れー。



「てかキヨって誰だしね」
「おれー」



ハイジ並みに高々とブランコを漕いでいた私は男を見るなりバランスを崩した。がしかし、ブランコからの大ジャンプを繰り出して楽々着地。パンツ見えてたよ、と千石は言ってふざけてラッキーとかほざいたので、無性にいらっとして砂場を蹴る。砂ぼこりが舞った。



「アンタのせいでエライ目にあったんだけど」
「ほっぺた腫れてるね」
「触んないで」
「ごめんね」
「死んで」



君のおかげで別れられたと千石はにっこり笑う。最低な男。女の子はみんな好きと謳う彼は、私のことを女の子だと思っていないのかもしれない。だって扱いがひどすぎる。千石に優しくされても今さらキモいだけだけど。



「キヨって呼ばせてた?」
「あの子が勝手に呼んでたの」
「へー」
「やきもち?」
「死ねば」



てかついてこないでほしい。私が千石と一緒にいたというだけで、私はこの通り頬をひっぱたかれた。実際千石が嘘をたくさん並べて私を悪者に仕立てあげてるんだけど。もうこんなのはこりごり。友達いないのは別にいいけど、明日からまた学校行けない。どうせめったに行かないけど、そろそろ出席日数危ないのに。今日は日数稼ぐために行ったのにまさかあんな目に合うなんて。



「サイテー」
「ねえ君の家に行っていい?」
「やだよ」
「じゃあどっか行こ」



千石がどうして私につきまとうのか。私のことが好きだから。正確には弱ってる私が好きだから。一度弱味を見せたらそこにある意味つけ入れられた。私にとっては汚点でしかない過去が彼にとっては最高の思い出。…鈍器で頭殴ったら記憶なくすとか都合よくなんないかな。いややっぱやめよう。記憶どころじゃないくらい殴っちゃいそうだし。



「あの子気に入ってた?」
「……」
「珍しく君が大事にしてた」
「……」



千石の言う通り。女の子も好きな私はいわゆるバイで、あの子のことを気に入ってた。好きだったかもしれない。だから今回はかなりきてる。思った以上に悲しくて悲しくて、最低な男に抱きしめてもらいたくなる。



「よしよし。俺がいるよ」



舌を噛んで死んでしまえ






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