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どうしようもなくクソつまんない。やる気が起きなくて、化粧も面倒だし、受信したくだらないメッセージをちかちか光って知らせる携帯にもうんざり。誰とも会いたくない。メールも話もしたくない。笑いたくない泣きたくない怒りたくない。息をするのすら億劫だと思ってしまった私は、わがままだ。世界中の女の中でも三本の指に入るくらい、最悪な女だと思う。とか、っあーやばい自己嫌悪。
「かわいい」
くだんないくだんないよ吐き気がする。可愛いとか、私が欲しい言葉じゃない。私は、私だけの言葉が欲しいの。前髪を撫でた指に、熟れた目に、愛を囁く唇にも何も感じなかった。どうでもよかった。誰も愛してない私が誰かに愛されるはずがない。わかってた。愛されたかった。つまんない面倒な私でも愛してるよって、言ってほしかっただけなのに。
「ほら、あげる」
差し出されたお金を破ってふざけんなって心の中で自嘲したい。優しく甘いキスを受ける私がふざけんな。私を愛してよ。はは、どうでもいいコイツに求めるのも間違ってるよ。自嘲。
***
「なあ、何しとん」
「見て、わかんない?」
ぶつり、ぶつり、皮膚の千切れる音を聞いたのは久しぶりで、こんなに血が出てるのにやっぱり痛みなんて感じられなかった。狂ってる。病んでる。でも死にたいわけじゃない。だから困ってる。こんな私を見ても困らない光はきっと私に会ってから狂った。光は私の自傷行為を止めたりなんかしない。止めても無駄だってわかったからだ。
「愛しとる?」
「うん」
「嘘つけ」
「本当」
嘘だ。愛してない。だって光も私を愛してないでしょ?ギブアンドテイクじゃなきゃ嫌だよ。傷つきたくないし、本気で誰かを好きにもなったことないからわからない。昨日のあの男でさえも女を愛したことがあるのに、私は知らない。教えてくれる人だっていなかった。
「もうええわ」
「光」
背中に飛び付いて、キスした。好きだよ。光だけだよ。嘘ばっかり。私の浅ましい考えを光は見抜いてる。だから毎回声を上げるのも辛いようなひどいセックスをするから、私はまるで躾られている犬みたいだ。
滴る血を光に舐めてほしい。私を一片も残さず食べて。光は愛も恋も心底くだらないと馬鹿にする。羨ましい。私は光になりたかった。