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どっちかってゆーと、好きな部類。ラブじゃなくてライクだけど。目の前のライクな男はじっとこっちを見ている。



「…………なに」
「手止まってるよ」
「はぁああ、何が悲しくて夏休み終盤に勉強しなくちゃいけないの」
「それはこっちのせーりーふー」
「いてっ」



シャーペンのノックするとこをおでこにぐりぐりと押しつけられる。こめかみじゃないだけましだけど痛い。



「つーなーよーしー」
「そんな声出してもダメ」
「ちぇ、ケチ」



今日は映画見に行くつもりだったのに生憎外はどしゃぶり。あと、私が宿題を全く終わらせていないことが綱吉にばれて、予定は変更。今日1日勉強会イン私の家。勉強会といえど私がサボって、綱吉に怒られての繰り返し。だから宿題は一向に減らない。減るわけがない



「今日さあー」
「んー」
「帰るの?」
「誘ってる?」
「彼氏みたいなこと言うな」
「帰るよ」
「さびしーい」
「彼女みたいなこと言うな」



綱吉との関係は説明できない。ややこしくはないんだけど、何て言ったらいいのかな、とりあえず彼氏じゃない。友達。キスとかセックスとかするけど、友達。セフレな意味じゃなくて、そんな軽い関係じゃなくて、どっちかってゆーと彼氏なんかより大事なのかもしれない(彼氏いないけど)。家族?みたいな、…そしたら近親相姦じゃんキモチワルっ
考えもまとまらないし、数学もわからないわでシャーペンをほおりなげる。



「あーもー宿題やだ。新学期になったら学校爆発してますよーに」
「物騒だな」
「獄寺が職員室爆破してくれますよーに」
「せめて台風とかさあ」
「台風で職員室爆破されてますよーに」
「どんなんだよ」



バカみたいな会話。バカすぎて脳みそ溶けそう。これが楽しいんだけど。
数学は綱吉にパスして、古典のプリントに手をつける。げ、なにこれ。



「う、受け身?れーれーるーるーる」



あ、と思ったときには綱吉が私に口づけていた。あまりに自然すぎたし、そんな雰囲気でもなかったから全く予想できなかった。目も閉じなかった。どうせ綱吉だからいいや



「…発情期?」
「るーるー言ってんのが可愛かったから。」
「綱吉ってほんとさ」
「欲望に忠実、だろ?」
「わかってんじゃん」



けらけら笑いながら、綱吉が私を押し倒してじゃれあう。理性もなにもない獣みたいだ。私たち。綱吉の手がホックを外す。この瞬間が開放されたみたいで好き。



「シャングリラーしあわっせーだってーさけんでくれよ」
「懐かしい」
「これ綱吉の歌みたいで好き」
「そう?」
「いじっぱりなきみのっなきがお見せてくれよっ」
「俺ってそんな?」
「なんとなく」
「てか音痴」



最中なんだから仕方ないじゃん。ああ明日お隣さんに怒られるかもしれない、ここすごい壁薄いし。もしかしたら私の喘いでる声もぜんぶ筒抜けかも。嫌だな



「綱吉カラオケ行こうよ」
「終わったらね」
「終わったら寝るに決まってる」
「ここで歌えば?」
「シャングリラ、ゆめのなっかでさえーうまくわらえな「なぁ」んっ?」
「すきだ」
「私もすき、すごいすき」



(ぼくのことダメなひとってしかりながらーあいしてくれぇ)


100830 chikura
どこか遠くに行こうよ


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