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「今日の晩飯なにー」
「餃子」
「また冷凍餃子かよ」



少しむっとして冷凍が嫌ならベルが作ってよ、と言うと



「は?俺の手がにら臭くなるから嫌だし」



と言うのだ。この贅沢わがままニートめ。でも何だかんだ文句言いながらもホットプレートはちゃんとちゃぶ台にセッティングしてくれる。



「王将の餃子はおいしいね」
「俺の焼き方が上手いんだし」
「はいはい」



ベルは餃子を焼くのが上手い。わたしが焼くとへにゃへにゃになってしまうのに、ベルが焼くとパリパリでおいしい。同じ餃子なんだけどなあベルはやっぱすごいわ。



「他にもっと感心するとこあんだろ」
「いやあ、あんまり」
「てめっ」
「ベル王将でバイトしたら?」
「絶対ムリ」



だよねー、言ってみただけ。ベルに飲食店は似合わないよ。
へにゃへにゃの餃子(私作)をお箸でつまむ。お箸が皮をつきやぶって、具がのぞいてる。うわあ本当私の焼く餃子まずそう。



「…なにしてんの」



へにゃへにゃ餃子は私の口に入ることなく、ベルに食べられた。もぐもぐごくり



「まっず」
「同じ餃子なんだけどね」
「お前俺の焼いたやつ食えよ」



そう言って私のへにゃへにゃ餃子はベルの受け皿に並べられ、私の目の前にはキレイに形を保って焼き色のついた餃子たち。



「うわっお前なに泣いてんの」
「ベル愛してる!!」
「うん、歯ァ磨いてからキスしてくんない?まじにんにく臭とかムリ」



ちょっとだけ悪意を孕んでキスをしたら嫌な顔された。ごめんって。次餃子にするときはごま油にしてあげるから。



china apart



1130 chikura


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