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わたしの彼氏は超がつくくらい優しい。
お年寄りが困ってたらすぐ駆け寄って助けるし、子供にももちろん優しい。見た目はただのチャラ男だけど底抜けに明るい性格だし、面白いし、運動神経抜群だし、他人の悪口は絶対言わない。そんな性格だからもちろん友達も多いし、言わずもがな女の子にはモテる。
本人はモテないって言うけど、それは一緒にいる白石の顔が良すぎるから。あと謙也が鈍感だから気づかないだけで、実際モテる。あ、ノロケとか彼氏自慢じゃいですよ。そりゃあ他人から見たら優しくて自慢の彼氏かもしれないけど、みんなに優しいってことは女の子にも優しいんですよ。心配とか通り越して怒りが湧くよね。まじで天然タラシかよ。あーむかつく!



「みょうじ、顔怖いで」
「うるさいエクスタ」
「生理か?」
「死ね」
「おー怖い怖い」



とか言いながらちゃっかり向かい側に座る白石をじろっと睨む。



「…………なに」
「いい加減慣れぇや。今に始まったことやないやろ」
「無理。ムリムリムリムリぜぇえええっったい無理!!」



私と白石の視線の先には女子のノートを持ってあげてる謙也。ニヤニヤしちゃって馬鹿じゃないの。どうせ鈍感謙也のことだからあの子が謙也のこと好きなの知らないかもだけどさ。見たらわかるじゃん。何でそんなさあ、



「謙也なんかロッカーの角に頭打っちゃえ」
「……可愛くないなあ」



黙れ白石。私だってこんな可愛くない女になりたくってなってるわけじゃない。涙が出そうになって慌ててうつむく。



「だって、」
「………」
「謙也はみんなのものじゃないじゃん。私のなのに」
「誰がお前のやねん」



降ってきた声に顔をばっと上げると、謙也が目の前に立っていた。謙也、耳赤い



「なして泣いてんねや!?」
「泣いてないっ」
「うそつけぇ!!」



少し毛玉のついたセーターの袖が私の目尻に押しつけられる。



「天然タラシ鈍感馬鹿ハゲ」
「はげとらんわ」
「謙也なんか嫌い」
「ヤキモチか」
「黙れスピード狂」



ぐしゃぐしゃと頭を乱暴に撫でられる。



「俺みんなに優しいん?」
「そうだよ馬鹿」
「でも俺が好きなんはなまえだけっちゅー話や」
「……………」
「……………」
「…顔真っ赤」
「…お前も人のこと言えんわ」




101029 chikura
やさしいひと




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