ハッピーバースデーディアざーいぜーん | ナノ



「…何してんねん」
「えっ」
「お前が手に持っとるん何や?」
「あ、小豆…」



おずおずと差し出せば小豆の袋をパーンされた。ひぃいい…!



「何で小豆やねん!」
「赤いから…」
「ああ゙?!」



だって先生が 赤緑黄色 …だっけ?何色か忘れたけど、食事にはバランスが必要だって言ってたじゃん。赤い小豆が必要じゃん。とは言えるはずもなく、濃い青色のエプロンをつけて仁王立ちする財前を前に、ただ縮こまる。ずり落ちた黄色のエプロンを付け直すと、ため息をつかれた。なぜ私は小豆をパーンされたんだ。あ、財前もしかして小豆嫌いだったのかな…。善哉は好きなのに?変なの。



「はあ…」
「…財前が怒ってる…」
「俺が怒っとるかどうかなんて今どうでもええやろ?!」
「…すみません」
「もうええから座っとき」
「私も手伝う」
「ええって」
「やる」
「……」
「やる」
「…そこの卵割ってくれ」
「イエッサー!」



卵ね、卵を…割、る…?
えっ、卵ってこれでしょ?これどうすれば割れるの?中身あれ、…あ、そっか。あれだ、スイカ割りみたいなもんだ。とりあえずボールに卵を入れて、「財前、卵何個?」「二個」、二個入れてっと、あれ棒はどこだ?棒…棒…



「財前!棒ってどこ?」
「そこ」
「あった!」
「ん?待てお前何する気や」
「何って卵割り」
「卵割るんに棒がいるんか?」
「いるよ。だって卵割りだよ?」
「いらんわ!」



またもや棒をパーンされた。



「お前ほんまいらん!」
「待って捨てないで財前!」
「味噌汁に小豆いれたり、米とぐんに洗剤使うたり、…何してんねん!」
「すみません…」
「俺以外のとこもう食い終わっとるわ!!」
「どうしよう財前…私こんなんじゃ誰も嫁に貰ってない…」
「そんときは俺が貰ったる!」
「……え」
「……あ」



財前の顔は真っ赤だった。



110720 財前ハピバ企画


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テーマ「人外ファンタジー」
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