ハッピーバースデーディアざーいぜーん | ナノ
「少し落ち着こうか」
「俺は冷静っす」
「いやいやいや落ち着け?!まずそれから手を離せ!話はそれからだ!!」
最近マンネリ化している私たちに何を思ったのか、財前はこう言った。
「先輩、これに着替えてください」
その手にあったのは、いわゆる、コスプレ衣装だった。
「いやいやいや」
「もうこれしかないっす」
「これ以外に策はあるよ!きっと!それだけは本当、勘弁してください」
「嫌がるんを無理やりやらせんのがええんっすわ…」
ヤバい。ヤバいぞ財前の目が据わっている。じりじりと迫る彼に私は力なく床にへたりこんだ。ちょ、まじでこれはアカーン!初音ミクとかアカーン!どうせならナースとかメイドとかが良かった。…初音ミク…出来ればそんな性癖は知りたくなかった。でも好きだ。マンネリ化してるけど。
「先輩、こっち向いて」
「…いや」
羞恥で今にも死ねそうだ。
コンプレックスである二の腕と太ももをこれほどまでに晒すなんて。よもや私がコスプレをして彼氏を喜ばせるなんて。くそったれ。いや財前は悪くないよ。私財前のこと好きだし、コスプレ好きとかも全然財前なら許せるし。受けとめられるし。でも何か悪態をつきたい。くそったれ。どうしてこうなったんだくそ。こうなればヤケクソだバカヤロウ。
くるりと後ろを向けば、不満そうにした財前が…あれ?何よその顔。残念きわまりないみたいな?私だと不満なのかコノヤロウ。
「先輩似合わないっすわ」
直後、私の右ストレートが炸裂したのは言うまでもない。
110720 財前ハピバ企画