彼、彼女、あなた、 | ナノ
「でさぁ、その女がー」
「お前女以外に話すことねーのかよ。」
人生上手くいっているかときかれたら答えはイエス。食うもんにも眠るとこにも困らないし、もちろん女にも困ってない。でもなんだかつまんない気がする。だから今の状況に点数をつけるなら70点ってとこ。テストで70点とれたら俺にとってはかなり上出来。でも人生70点はちょっと物足りない。
「っていうかお前本当に女好きだな…ある意味すげー」
「男なんだから嫌いなわけないだろー、獄寺はねーの?こういう話」
「こういう話って猥談?」
「何でだよーいま俺猥談なんかしてねーしっ。ちょっとエロい話だろー」
「お前のちょっとエロい話は猥談なんだよっ!!」
高校卒業して、いまはホスト。ナンバーワンじゃないけど、俺はそのくらいがいい。適当に遊べるくらいが楽しい。仕事だって楽しい。天職なんじゃないかなって思う。たまにめんどくさくなるときもあるけど。
「でも獄寺が休みでよかったのな!一人で飲むのは寂しいし」
「それこそ女でも連れてくりゃいいじゃねーか」
「冗談。仕事でもないのにやってらんねーのな」
「確かに」
「あ、っと」
ポケットから振動する携帯を取り出す。…メール?小僧から?
受信ボックスをひらいて、文字を見る。小僧のメールは簡潔で、わかりやすい。
「なにニヤニヤしてんだ、気持ち悪ぃ」
人生に満足はしてるけど、刺激はない。そんな人生つまんねーの、はっきし言って飽き飽き。ああ、でも
「……面白くなるかもな」