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午後1時、本日晴天小春日和。教室は適度に暖かく、黒板につらつらと数式を書くチョークの音、抑揚のない先生の声、これらが全部合わさって…えー…睡魔。睡魔の誕生や。ごっつ眠い。ちゅうか先生誰に話しかけとんねん、黒板か?黒板と話しとるんか?やってみんな寝とるもん。あー…眠い…学校に昼寝の制度を設けてほしいわ。ぼんやりした頭じゃ何も入らん。斜め前のなまえがこっくりこっくり船をこぎだした。前に後ろに揺れる頭を見ていると余計に…ね、む…



「起きろっすわ」
「いっでぇえええ!!!」
「何や忍足?!頭にシャーペン刺さっとるで?!」



シャーペン?!この痛みシャーペンなん?!



「謙也さん」



えっ、今財前の声したやんな?きょろきょろと見回せど姿は見えない。ここは三年の教室。二年の財前がいるはずないっちゅー話や。



「謙也さん」



何なんこれ幻聴?俺幻聴になるほど財前のこと好きなん?いやいやキモチワルッ



「どないした忍足ー」
「あっすんません!寝ぼけてました」



しっかりせぇよ、先生はまた黒板と向かい合う。幻聴や…あかんわ…俺気持ち悪いわ…。さっきの拍子で白いノートに引かれたに黒い線を消そうとふでばこに手を伸ばす。「何やこれ変な消しゴムやな」ってぇええ?!財前んん?!財前ちっさ!!!
机の上には俺の消しゴムをむしる財前がいた。だいたいiPodくらいのちっこい財前。



「何?お前、えっ、どない、何これ?!」



うざいっすわぁと悪態をつかれても…何やこれムカつかんなあ、むしろかわええ。



「…謙也さんキモイっす」
「いや〜財前お前かわええ〜かわええな〜」
「キモイキモイキモイ近寄んな死ねダッシュした拍子にすっ転んで背骨折れてまえ」
「そんなん言われても怖ないわ〜」



かわええかわええと連呼しとると財前が再び俺のふでばこに入った。ん?何ゴソゴソしとんねん。財前が取り出したのはコンパス。針の部分がきらりと光った。



「ちょ、待った待ったそれはなしや!!!」
「死ね」






「っていう夢を見た」
「は?何すか謙也さんキモイっすわ」
「あ〜ちっこい財前はかわえかったなあ」
「なまえ先輩、謙也さんが俺のこと口説くんすけど」
「うん良かったね付き合えば?」
「謙也さん、俺そっちの趣味ないんでごめんなさい」
「俺があるみたいに言うなや!!」



110406 chikura






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