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「日吉ぃ」
「……」
「日吉まで私を裏切るの?」
「人聞きの悪い言い方しないでください」



学年末考査まであと5日を切った。学年末といえば年度の締めくくり。俺は今度の考査こそあの部長を超えなければならない。下剋上だ。今日は気分を変えて自習室で勉強しようと三年の下駄箱の前を通ったのが間違いだった。



「お腹すいたから食べに行こうよ」
「お一人で、どう、ぞ!!」
「冷たーい」



この先輩は何が何でも俺に勉強をさせないつもりらしい。全体重でしがみつかれて、重いし目立つし笑われてるし。やめてほしい。でもここで構ったらそれこそ先輩の思うツボ。無視だ、無視。背中の先輩をずるずる引きずったまま自習室に向かう。



「ねえねえ」
「……」
「日吉ぃ」
「……(無視、だ)」
「……」
「……」
「ふっ」
「!!!何、して!」
「あっはは!日吉顔真っ赤!」
「〜っこの馬鹿女!!!」



耳に息を吹きかけられて背筋がぞわぞわする。ケラケラと笑いながら逃げる先輩を追いかけた。勉強?とりあえずこっちの下剋上が先だ。


110219 chikura
日吉にちょっかい出したい




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