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年が明けてもう十日たった。今日から新学期が始まる。冬休みに部活はあったからそんなにだらだらしていたわけじゃないけど、休み明けはだるい。カバンも重いし。賑わう廊下に白い頭と猫背の背中を見つけて、声を掛けた。



「におー」



ああなんだ、ブンちゃんか…と青白い顔をした仁王が俺をちらりと見る。その顔は青白い。いつもそんな顔色だけど今日はことさら酷い。何かあったんだろうか。まあ、大したことじゃないだろうけど。



「ブンちゃんは裏切らんって信じちょる」
「は?」
「宿題、」
「あー」



柳生は厳しすぎるナリと言うあたり、宿題見せてくれって頼んだんだろうな。柳生が見せてくれるわけないじゃん。それで俺もやってない、と。



「ごめんな〜仁王」



机の上に次々とプリントとノートを出す。見てみろぃ、俺の努力の結晶を。夏の悲劇は繰り返さねーぜ!



「ってお前何してんだよ!」



数学の青いノートの俺のかっこいい名前が塗りつぶされて、その上には仁王雅治と細い字で書かれている。せこい。せこすぎる。仁王のマッキーを奪ってその字を塗りつぶしてやった。



20110104


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