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「私キスとかエッチとかあんま好きじゃない。むしろ嫌い」



もう何度目になるかわからない白石からの果てしなく軽いノリの告白に、そう言えば白石はそれまで調子良くベラベラと繰り出していた言葉を濁した。私だってこんなこと言いたくなかったけど、もう言ってしまったことは仕方ない。どうせ白石だし。付き合いが長いので扱いは雑でシンプルになる。
白石のことは外見も中身も、文句なしに好きだけど、外見なんかもうめちゃくちゃタイプだけど、正直見飽きた。白石も私がタイプだと言う。嘘ではないと思うけど、たぶん白石は私を好きで付き合いたいんじゃなくてもう半ば意地だと思う。なんだかなあ。



「俺が嫌いなん?」
「嫌いなわけないじゃん」
「だったら付き合うてもええやん」
「何か違う気がする」
「彼氏欲しいやろ」
「別にいなくてもいい」
「イケメンな彼氏欲しいやろ」
「え?なにそれうっぜ」



ていうか白石がこの前他校のケバい女と腕組んで歩いてんの見たしね。あれ彼女でしょ。二股じゃん。てか私、白石の後輩に「部長の彼女」って呼ばれてんの何でだし。密かにいいなって思ってた謙也にはとことん避けられるわ、一部の女子から地味な嫌がらせ受けるわ、あー本当私何でこいつと友達なんだろう。切ってしまえばいいのに、それはなんやかんや理由をつけても、結局白石を切りたくない。居心地がいいからとか、素でいられるからとか私に優しいからとか。



「結婚して、ずっと一緒にいようや」



飛躍しすぎ、話でかすぎ。
でも少し揺らいでしまった自分に簡単すぎる女だな、と自分ツッコミ。とりあえず卒業するまで白石が私を好きだと言い続けてくれたら、考えないこともない。




111226 chikura


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テーマ「人外ファンタジー」
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