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「生まれ変わったら蚊になんないかなー」
「蚊になりたいんですか?」
「私じゃなくて観月が」



蚊?僕が?なんで?不愉快極まりない。そんな表情を向けたことにも気づかず、彼女はブタのクッションをぎゅうぎゅう抱きしめ、恍惚の表情でうっとりとため息をついた。ああ、またろくでもないこと考えてる…。



「ねぇ、生まれ変わったら蚊になってよ」
「嫌です」
「えー…」



えーって言いたいのは僕の方ですよ。手渡したマグカップに口をつけようとした彼女に「熱いですよ」一声かければ、ぴたっと口を止めふうふうとココアに息を吹きかける。こういう、何気ないんですけど本当にこういう素直なところが好きなんですよねー…



「観月が蚊になったらさあ、」
「なりませんけど」
「もし!なったら!」
「ハイハイ」
「私の虜になるよね」
「ぶふっ!」
「きたなーい」
「げほっ!な、っ…虜?!」
「私の血の、虜」



…意味がわからない。
また恍惚とする彼女はマグカップを置いて、目配せをした。…くる。そう思った瞬間、奇声を発しながら僕に飛びついてきた。



「読めてますよ」
「ちぇー」



ケラケラと笑いながら「観月ぃ」意味なく僕を呼ぶ声。額に口づけを落とすと、白い柔らかな腕が首に絡んで淡いピンクの唇が降ってきた。唇、まぶた、頬、鼻、首。啄んで、ときどき噛みつかれて。



「君の方がよっぽど蚊みたいですよ」



110529 chikura
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遅くなりましたが、観月さんハピバ!





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