ガールミーツホスト | ナノ
「話を聞いてください」
スタッフルームらしい部屋のやたら華美なソファーで沢田さん、ザンザスさんに挟まれ、京子さんが向かいのソファー。二人ともみ、密着しすぎじゃないですか?
「とりあえず捜索願を出される前に
「京子ちゃん!誘拐じゃないってば!」
え?そうなの?」
捜索願を出される前に何をしようとしてたんだ、京子さん…。一から説明を始めた二人に溜め息をつくと瓶とグラスを差し出された。
「いいんですか?」
「飲め」
グラスに赤い液体が注がれる。まさかお酒…?いやでも瓶にいちごの絵書いてあったし甘いにおい、たぶんジュースだ。一口飲むと、何ともいえない味…。
「まりあ!自分で説明して」
「はい!ごめんなさい!!!」
そういえば京子さんに名前も言ってなかった。
「中村まりあです。あ、えと沢田さんとザンザスさんに助けてもらいました」
「私は京子、笹川京子。ツナくんの友達でここのバーテンダーをしているの」
「バーテン似合いそうですね!…き、京子さん?」
「可愛いいい!!!」
「はい抱きつかない。剥がすの大変だから」
飛びつこうとする京子を沢田さんが制する。手慣れてるなぁ
「見ればわかるけど、まりあは家出してきたんだよね?」
「…はい」
「理由、聞いてもいい?」
「……」
蓋をしていた感情がドロドロと溢れ出て、うまく言葉に出来なくなり、私の心を乱している。何が理由なのか、どうして家を飛び出したのか、理由はある。でもそれをどう説明したらいいのか。小さなことかもしれない、何をそんな事でと思われるかもしれない。
「まりあ」
左隣の沢田さんがぐるぐると考えこんでうつむく私の顔をのぞきこむ。綺麗な橙の瞳が泣きそうになっている私をゆらゆらとうつしていた。
「無理して言わなくていいよ」
その声があまりにも優しくて私は震えた。
「何か頼れることがあるなら言って」
「……沢田、さん」
「ん?」
「ここに私をおいてください」
「まりあちゃん…」
「仕事をください。何でもします。お願いします…」
ソファーをおりて床に膝をつき、頭を下げる。三人の顔は見えない。京子さんの息を飲む声がきこえた。
「まりあ、」
ザンザスさんの声にゆっくりと頭を上げる。
「綺麗な目だ」
ザンザスさんが口の端を歪め笑う。ザンザスの目が赤くうごめいた気がした。
「こいつは、俺が引き取る」