ガールミーツホスト | ナノ
それもこれも全てはただのお遊び。ホストになったのは成り行きで、どの道俺はこうなる予定だった。まあそのへんは割愛。ホストになっても退屈な毎日に飽き飽きしてる。客、やっかみ、自分にしか興味のない店のやつら、ストーカー、痴情のもつれ、何の味もしない酒、灰色の空。夜空も朝焼けももうずっと見てないような気がする。
「…てめえがここに来るなんざ何の前触れだ?金でも借りにきたか」
「笑えない冗談だね、ザンザス。こんな詐欺まがいのサラ金に手を出すわけないだろ」
「フン」
退屈だったから、そう言うと相変わらずだなとミネラルウォーターを投げられた。
「…なんで水」
「酒の味もわからねえようなガキにやるもんはねぇ」
「年寄りくさ」
ザンザスの眉がぴくりと動いて、一瞥。俺がどんな憎まれ口叩いてもザンザスはキレたりしない。だって俺の店がこの辺で一番の権力を握っているから。
「(くだらねー)」
「…沢田綱吉、」
「ん?」
「飯、食いに行くぞ」
「はあ?何で俺が」
「今日は飯炊きのカスがいねえ」
「スクアーロはお前の飯の世話までしてるのか!?よくできてんなー」
「欲しいなら持っていけ。口うるせえんだ、あれは」
「やめとくよ」
そんなことしたらここはすぐ潰れるだろうから。
たわいない話をしながら日の沈みかけた道を歩く。気を使わなくていいからザンザスといると楽だ。お互いに遠慮しないからよくケンカにはなるんだけど。
「あ」
「何だよザンザス……、あぁ」
女子高生…迷子かな。捕まってる。あいつ…、売春斡旋のやつじゃん。
「沢田」
「ほっとけば?自業自得じゃん」
「誰が助けるだなんて言った?」
悪い顔。ザンザスのそういうところ、嫌いじゃない
誰でもいい、退屈で死にそうなんだ。