ガールミーツホスト | ナノ


日もすっかり暮れてしまった歓楽街にどう見ても不釣り合いな人が一人。それは制服、素足に健サンをはいた私だ。コンビニとかはこの格好でいいんだよ。楽だから、ってそんなこと言ってる場合じゃない。第一ここはコンビニじゃない、歓楽街だ。スーツに身を包んだおじさんやチャラいお兄さん。胸元がばっくり開いたドレスを着て、綺麗だけど香水くさいお姉さんで溢れかえってる。わたし完全にアウェイ。
道行く人のいぶかしげな視線が痛い。どうして私がこんなところにいるのかというと、迷ったから。アイアム迷子。歩けど歩けど、ここから出られそうにない。あーあ、学校の先生に見られたら謹慎かな。いやでも教師がこんなとこにいたらそれこそ謹慎ものだよねー



「ねえ、女子高生?」



セオリー通り悪そうなお兄さんが前に立ちはだかる。せめて着替えて飛び出せばよかったと後悔。こんな街でセーラー服とかマニア受け(偏見だけど)。目をつけられないわけがない。お兄さんはオレ、悪い人だよ〜とすぐわかるような顔で笑った



「家出少女ってやつ?」



あながち間違ってもないです。
五感が逃げろと警報を出している。だけど靴底におっきなガムをつけられたように足が動かない。怖い。



「いい仕事あるんだけどさあ」



逃げろ私!動け足!
笑顔をはりつけたまま近づいてきて、ゆっくりゆっくり、手がのびてくる。反射的に目をぎゅっと閉じた。こわい、怖い、怖い、



「何してんだテメエ」
「ザ、ザンザスさん、沢田さん…」



ドスの利いた低い声に目を開けると両脇にすごくかっこいい人が立っていた。あきらかに一人は日本人じゃない気がするんだけど…もしかして、助けてくれた…?



「何やってる、カスが」
「その子家出してきたみたいなんすよ〜」
「そうか」



外国人のやーさんっぽい人がわたしの腰に手を回す。えっ?!



「連れて行きますね」
「ダメだよ」
「は、」



今度は白スーツのジャニーズみたいなお兄さんがわたしの肩を抱く。



「………え?」
「聞こえなかった?」
「沢田さん、横取りはなしっすよ」



一触即発な雰囲気におろおろしていたら、それまでニコニコしていたお兄さん(ジャニーズのほう)がすうっと目を細めた。



「横取り?俺によくそんな口がきけるね」
「かっ消されてえのか」
「「失せな」」


かっ、こい…い…!




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