ガールミーツホスト | ナノ

足の踏み場もないほど積み重なった洗濯物をとりあえず種類別に分けてみる。タオル、シャツ、靴下、ズボン、……下着まで…!黒のボクサーパンツを手に一瞬固まってしまった。お、お仕事だもん仕方ない…!お仕事お仕事…、呟きながらそれをかごに入れた。分けても分けても山は崩れない。



「えっと洗剤…」



洗濯物を洗濯機に放りこんで、洗剤を入れ、ボタンをぽちり。水を貯めながらうぃんうぃんと音を立てて一生懸命稼働する洗濯機を見て、思わずため息がでた。1日で終わるかな…



「おはようございます、まりあ」
「ひあっ」



耳元に息をふきかけられて飛び退く。



「えっと…骸さん?ですよね」
「違います」
「!ごめんなさっ」
「くふふ冗談です、合ってますよ」



からかいがいがありますね、と骸さんが目を細める。からかいって…。



「早いですね」
「僕も仕事がありますから」
「仕事?」
「…知りたいですか?」



その笑顔があまりにも怪しげだったので慌てて首を横にふる。また骸さんが笑った。



「まりあの仕事はこれですか?」



洗濯物の山を見て、骸さんは大変ですね、がんばってくださいと言って私の頭を撫でる。骸さんの皮手袋の感触。



「ありがとうございます!」
「あ、まりあ」
「はい?」
「黒のボクサーパンツは僕のですよ」
「!?」



黒のボクサーって…さっきのパンツ?!骸さんの?!っていうか見られてたの?!驚きと羞恥に口をぱくぱくと開けているわたしの顔を見て、骸さんが吹き出した。…もしかして…嘘?!



「はーこんなに笑ったのは久しぶりですよ」
「嘘ですね…?」
「じゃあ、また」
「骸さん?!」



どっちなんですか?!骸さんの後ろ姿はこっちから見てもわかるくらい震えていた。絶対笑ってる…!



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