半年ぶりに訪れたそこは、もう廃墟と化してしまった。

今にも崩れ落ちそうなほどに焦げた門、奥にある建物も焼け落ちていたり石垣が崩れていたり。
私にとって刹那である半年がこれほど長いと感じたのは久しぶりだ。

たった半年、されど半年。

人の世はまさに諸行無常。
私が予想していた惨劇は予想以上の現実を見せた。

そう。私はこうなる事をわかっていた。



門をくぐり敷地内に入ると、半透明の見知った顔が幾つもいる。
中には死んだ時の醜い姿のままの奴もいる。
そいつらは例外なく私を睨み付ける。
私はただ、静かに彼らに頭を下げた。


ちょうど一年前の今頃、私が落ちてきた場所についた。
ここには敵味方関係なく死体が多い。
死体を踏まないようにして、庵の障子を開ける。

「久しぶりだな………大川殿」

中にはこれまた半透明の大川殿がいつになく厳しい顔で座っていた。
大川殿は何も言わないが、私は中に入り、大川殿の正面に正座で座った。

「…済まなかった。こうなる事はわかっていた。
 誰がどんな死に方をするのかも」

死んだ彼らには私が知っていたという事実がわかってしまったのか、怨霊としてここにいる奴もいた。

…むしろ、怨霊か地縛霊の奴がほとんどだ。
普通の霊になった奴など両の手で事足りるだろう。

「本当に…済まなかった……………」









 …という夢を見たんだ」
「失礼じゃのう。ここはそう簡単に陥落せん」

お茶をズズズと啜りながら大川殿と夢話をした。
大川殿『と』と言っても、私が一方的に言っているだけだが。

「だーかーらーただの夢だ。
 …だが薄々気づいておると思うが」
「…ああ。わかっておる」



「学園長先生、天……雨箕さんって眠った所見たことありませんよ」
「何?本当か、食満」
「はい。六年生が交代交代で夜も監視していますが…」
「ふーむ…………」







すなわち伏線である

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