一刻後…

屋根の上から探していると広い庭(?)にギャラリーとその中心にいる潮江を見つけた。
ギャラリーを呼んでくるとは解っているではないか。

屋根から飛び降り、潮江に向かって行く。
私に気付いた野次馬どもが『出エジプト』の如く道をあけ、私も当然のようにそこを通った。
潮江の前に行き、

「さて、私の獲物をくれないか」

と言った。

「自分のはねぇのか」
「あるっちゃあるが、後から不正だと言われては敵わん。
 木刀でいい。貸せ」

私の命令口調に周囲から小さく非難の声が聞こえたが、これが私の自然体だ。
文句ならば大川殿に言ってくれ。

少しして少年の一人が木刀を持ってきた。
軽く振り回して感触を確かめ、「ありがたく使わせてもらう」と言った。
至って普通の木刀だ。地獄のとあまり変わらない。

「よし。いつ何を使って何処からかかって来ても構わんぞ」

私は木刀を持って突っ立っているだけだ。
一方潮江は苦無を取り出し構えた。
おいおい、殺す気か。
思わず笑いが零れてしまった。

しかし、それだけだった。
私は突っ立ち、潮江は苦無を構えたまま。
ずっと動かない私達に周囲がどよめき始めた。
それでも私達は動かなかった。
いや、出来れば私もこの膠着状態から抜け出したい。いい加減飽きてきたからな。
潮江の方も恐らく同じだろう。
それでもずっと止まっている理由。

解る奴には解るだろう。
お互い隙が無いから動きようが無いと。

動かない。
周囲が騒ぎ始めても動かない。
…ああもう仕方ない。
わざと隙を作ってやるか。
少し気をフと緩めると潮江が一気に距離を詰め、苦難を振り上げてきた。

ああ、ようやくか。

潮江が苦無を降り下ろすより先に木刀を突き上げた。









苦無って振り上げる物なんですかねー…解らず書いてしまった。

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