次の日、大川殿に事務と食堂どちらを優先すべきか訊きに行ったら、何と今日は休みと言うではないか。
ならば食堂の方だけだ、と思ってからしばらくして潮江との決闘紛いの約束を思い出した。
休日=一日暇でいいのか?ニートのご隠居にはよくわからない。

食堂で誰かに訊くとするか。




少々早い時間だったが、昨日遅かったからその分だ。
おばちゃんはもう支度を始めている。
私も釜戸に火を着け(地獄に遊びに行ってたら得意になった)、皿を用意したりとおばちゃんの迷惑にならない程度に色々やった。
ここまで真面目に働いたのは初めてかもしれない。

少し経ったら食堂がガヤガヤと賑わってきた。
おや、そういえば生徒は四人以外に自己紹介していない。
…食事を取りに来た時で構わないであろう。
それにしても…

「おばちゃんAセット三つ」

相変わらず不思議な世界だ。
昨日初めて聞いた時の衝撃は凄かった。この時代にABCとか。

「はーい。雨箕ちゃん、火見といてくれる?」
「…りょーかいした」

『ちゃん』なんて白澤がふざけて言った時しか言われた事ない。
それ故パッと反応出来ないのが申し訳ない。

「あれ…おばちゃん、奥の人ってまさか天…」
「誰が天女だ、誰が」

後ろで戯れ言が聞こえたから被せてやった。
天女なんて下位の物の訳ないだろう。
顔だけ少年の方に向け、

「雨箕だ。これから邪魔になる」

とぶっきらぼうに言ってやった。
昨日もそうだったが、世話になると言わないのは一種の皮肉だ。
火の方に視線を戻し、こんな面倒なことを後何回言われるだろうと溜め息を吐いた。

後ろで私を天女呼びした奴がまだ去っていない気配がする。
おばちゃんから食事は貰ったはずであろう。

「あ、僕は…」
「後ろ詰まっているからさっさと行け」







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