平凡少女の時空旅行 | ナノ


▽ 平凡少女の旅行前03


初日だったのでその後先生が軽く話をして解散となった。
人見知りが激しいと言っている様な自己紹介の後、みらいに話しかけに来る者はいなかった。

周りに座っていた3人を除いて。

「で、何か思い出したことは?」

新手のナンパさん…確か鉢屋といったか。
彼はみらいの次に自己紹介をしたから聞いていた。
その彼が問いかけるが、

「え?いや…会った事ないと思うんだけど…」

という様に色よい返事を返せなかった。
3人は顔を見合わせ、しばらくの間難しい顔をしていたが、
再び鉢屋が口を開いた。

「私の名前を言ってみろ」
「…確か、鉢屋………二郎…?」

みらいの斜めに座っていた男子と隣に座っていた男子がブッと吹き出した。

「え?じゃあ一郎」

みらいの隣に座っていた男子が腹を抱えて笑い出した。
鉢屋に似ている男子も口元を押さえて顔を背けている。
鉢屋は前者だけをスパーンと叩いた。

「ということは三郎?」
「そうだよ!」

男子2人はひとしきり笑った後、少し悲しそうな目でみらいを見た。

「本当に…覚えていないのか…」
「いやだから…はぁ、もういい」

その後爆笑した2人は自己紹介を聞いていなかったみらいの為にもう一度名乗った。
隣に座った髪が荒ぶっているのが竹谷八左ヱ門、鉢屋に似ているのが不破雷蔵。
不破と鉢屋は従兄弟らしい。

「あ、そうだ。兵助と勘ちゃんに会ってこようぜ」

思い出したのか思い付いたのかは判らないが、竹谷が手をパンと打ってそう言った。

「あ、じゃあ私はこれで」
「バカ」

鉢屋がみらいを軽く叩く。


「お前も行くんだよ」




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