カーンと鐘の音が響き、ワンテンポ遅れて賑やかな声が湧き上がる。
箒を動かす手を止め、一年は組の教室があると思われる方を見上げる。
あ、太陽眩しかった。目が痛い。
変に格好つけるモンじゃないね。
話は変わるがヘムヘムってそのうち脳震盪起こしやしないかと凄く心配だ。
毎日毎日青銅に頭打ち付けてさぁ………人間だったら死んでるよ、多分。
「多上さーん!!」
遠くから一年は組の良い子たちがわらわらとやって来た。
そっか、昼か。
最近は一年は組の子達と一緒に昼食を摂る。
何故って?誘われるから。
私に謝ってからみんな突然フレンドリーになって裏があるのではないかと私が勘繰るレベルだ(上級生限定。下級生は何しても俺が許す)。
(下級生に対しては)心開いてきてくれてるのかなーって嬉しくなる。
「『昼食一緒に行きましょう!』か?」
「はい!さっきは剣術の授業だったのでもうお腹ペコペコで」
福富少年が元気よく答えてくれた。
あ、教室でやる授業じゃない、はい。
なんか頑張って太陽の方向見たけどそっちに居なかったんだね。
仕方ない、『他のクラスを見ていた』と自分に刷り込もう。
一年は組の良い子たちに手を引かれ食堂に向かった。
そして食堂ラッシュ帯。
すぐには食べられない事にガッカリする少年達を見て、私を呼びに来なければ食べられただろうに、と少々罪悪感を覚える。
それでも私に文句一つ言わないこの子達に軽く感動。
呼びに来るのわかっているから次からはどっかで待っていよう。
席が少しずつ空いてきたが、相変わらずの人の多さに苦笑いを溢しながら、嬉しい……とは違うが何かプラスの感情が湧いてくる。
少し前まではラッシュ帯を避けて一人で来ていたのに、今じゃ時間なんて気にせず大人数で来ているのか。
「多上さん!順番来てますよ!」
「はっ!?えっと、Oで」
「AかBしかないよ」
「あ………」
考え事をしていたらいつの間にか順番が来てしまったらしい。
黒木少年に呼ばれるまで気づかなかった。
つか自分で言っておいてアレだけど何だよOって。血液型かよ。
そしてそれを笑って流してくれるおばちゃんの優しさプライスレス。
それとは対照的にクスクス笑っている鉢屋がいたから通りすがりに足踏んでやった。
ざまぁ。
昼休みが終わって少しして仕事が粗方片付き、『今日は早いけどもういいです』と言われた。
言われた時は『あ、そうなんだ。』程度にしか思わなかったが…………
……暇だ。
暇すぎる。
仕事が無くてこんなに暇だとは思わなかった。
地面に落書きんちょは、お前幾つだよ、ってなるし、紙はこの時代に簡単に消費してしまって良いものかと思われる。
授業の見学は邪魔する事とイコールするし………。
「暇だ……」
「じゃあバレー「だが断る」………!」
おっとつい反射的に口が。
振り返ると口を尖らせた七松が立っていた。
そんな顔したって前言撤回はしないぞ。
「少年、授業は?」
「ん?自習」
「あ、そう………」
で、あなたの相方はいずこ。
「多上さんって誰からも多上さんって呼ばれているのか?」
「唐突すぎてどこからツッコミ入れればいいかわからないんだけど」
「で、どうなんだ?」
「………まぁそうかな、ここでは」
「へぇ〜」
「そしてこの質問の意図は」
「なんとなく!」
「Ach so…」
ちなみに『Ach so』とは『あ、そう』と大体意味が同じな上に発音も大体同じというドイツ語である。
こんなんドイツに行かなけりゃいつ使うんだ……。
そんなことどうでもいい?さいですか。
「あ、相方+αがこっち来てるよ。バレーやってこいよ」
「多上さんは何をやるんだ?」
「ギャラリー」
「つまり?」
「見てるだけ」
「そっか」
その後昼の事でからかわれたので立花に蹴り入れようとしたら避けられました。
おわり。
大遅刻すみませーーーーん!!!!
ちょっと奈落の底に堕ちてきますね!!!!