▼ 思考迷走
「…何の用ですか」
掃除をしていたら鉢屋か不破が寄ってきた。
雰囲気的に多分鉢屋。
ちょうど今そこ掃こうとしていたんだけど。
「最近のお前何なの?」
別にどうだっていいじゃないか。
「ここに来たばかりの時に立花先輩や私に毒吐いた奴とは思えない」
それがどうかしたの。
興味無さげに相手を見る私に、鉢屋は眉間のシワを深くした。
おい、不破の顔でそんな表情すんな。
なお反応を示さない私にイラついたのか、鉢屋は舌打ちをしてさっさと行ってしまった。
…あれ、どうして私はこんなにショックを受けないのだろう。
少年の死を引き摺ってこんなザマなのに、さっき鉢屋を怒らせた時は何も思わなかった。
「多上さーん」
呼ばれて振り向くと乱きりしんがいた。
「はい」
「多上さん、一緒にご飯行きましょう!」
「いえ…私はちょっと…」
「そうですか………ではまた今度!」
元気に駆けてく少年達を見送った。
さっき誘ってくれた時も、嬉しいとは感じなかった。
何故だろうか。
…………。
…なんとなく、わかったかもしれない。
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