無関心でありたいのにいられない | ナノ


▼ 保健委員会の場合

とりあえず上から順に書類を届けよう。

一番上は保健委員会か。精神的に非常に優しいね!
じゃあ医務室行きますか。
…で、医務室どこだ。私が目覚めた所か、OK把握した。



「すみません」

言いながら襖を開ける。
薬草の匂いが鼻を掠める。
私はこの匂いが結構好きだ。変わってると言われるかもしれないけど。

部屋の中には数人の少年がいた。
だが善法寺少年はいない。
仕方ないなぁと溜息をつき、猪名寺少年に「ここの委員長は?」とだけ聞く。
少年はほんのり蒼白い顔で

「いまは、いません」

と、若干震える声で答えた。
天女の被害にあったのか。
思っていたより事態は深刻かもしれないな。

まぁ今の私の仕事は書類を渡す事だ。
猪名寺少年に無言で書類を差し出す。

「え?あの…」
「どうぞ」
「で、でも善法寺先輩の方がいいんじゃ…」
「委員会に届けて欲しいとは言われましたが、委員長に届けて欲しいとは言われてません」

自分でも屁理屈だと思う。
でも無関心でいたいから仕方ない。

「…わかりました」と困り顔ながらも少年は受け取ってくれたし、次の委員会に行きますか。


……それにしても「善法寺」先輩か。
私の記憶が正しければ「伊作」先輩と呼ばれていた気がする。
この一週間生活していて何となく感じていた違和感を目の当たりにしてしまった。
上級生と下級生との間の溝は深い、のだろう。

顔も見たことのない『天女』と呼ばれた少女と互いによそよそしくなってしまっている少年たちに苛つきながら早足で次へ向かった。



  

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