無関心でありたいのにいられない | ナノ


▼ 嵐の日

「多上さん」

掃除中に呼ばれて振り向くと一年は組のよい子たちがいた。
全員お揃いのようで。

「何ですか」
「せーのっ…」

『今までごめんなさい!!』

…何がだ。
上級生はさておき、下級生に謝られる事をされた覚えはないぞ。
あ、思い出したらイラついてきた。
今上級生がいたら問答無用でぶん殴りそう。

「…すみません、私何されましたか」
「多上さんを怖がっちゃったり、逃げちゃったり…」

え、そんなことだけで。
なんて律儀な子たちなんだ。どこかの上級生にも見習って欲しい。

「気にしていませんし、そこまで気に病まなくともいいですよ」
「本当ですか?」
「ええ」
「これから仲良くなってもいいですか」
「は…………え、」
「じゃあ多上さん敬語使わないでください!」
「見かけたら気軽に話しかけてください!」
「ナメさんに会いに来てください!」
「…………!」
「…!」
……


ど う し て こ う な っ た 。

どこで選択を誤った私。
一年生と仲良くなったら上級生が黙っていないだろう。
でもこの子たちに「え、仲良くなるのはちょっと…」とか目を見て言える勇者などいるだろうか。
いやいない。

つまり承諾しか道はない。

「…わかった。善処しよう」



本当の嵐はここからだった。

その後二年生〜四年生までが順々に謝りに来た。

四年生?
『これで赦す』と言って殴りましたが何か。
上級生だから容赦しませんでしたが何か。

三年生と二年生は一年生みたいな対応で終わった。


で、今目の前に五年生がいるわけだが…。

「お前なんかに頭を下げん!」
「あ、そ。別にいいけど」
「多上さん!ちょっと黙って!
 もう、三郎!謝りなって」

鉢屋が私に謝らないからってなんか揉めてる。
で、不破が私にまで怒鳴ってきた…。

いや別にいいじゃん。
さっきから謝られてばっかで逆に私が申し訳ないから。
それに謝罪って強制するものじゃないし。

…というよりもし鉢屋が心の底から謝っても十発以上殴るまで気が済まない。

「くっ…!雷蔵に言われて仕方なくだからな!」
うわ面倒くせェ…あ、じゃあ私はこれで」
「多上さん逃げない!」



その後六年生にも頭下げられました。
ぶん殴りました。
それが何か。

更にその後教職員方にも謝られた時は流石にビビった。
一人一人だったからよかったものの、集団で謝られてたら完全にフリーズしてたわ、ありゃ。








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