▼ Re:Re:保健委員会
「僕の推測に過ぎないけど多上さんは……
更にその本音の中で、もう一つ乖離が起きていると思うんだ」
「あ、はい…」
まず本音と建前に分かれていて?
更にその本音が何かと何かに分かれている。
何と何にだ。
とか思っていると善法寺少年もちょうどそれを言おうとしたらしく、「推測に過ぎないんだけどね、」と念を押した。
「多上さんの本来の性と多上さんの性格…この二つに分かれていると思うんだ」
…えーっと、性格と本来の性が乖離している。
自分の性格についてはよく知っている。
でも本来の性って何だ。
「…いや、乖離しているけどしていない、かな。
二つが奇妙なバランスで成り立っている…のかな」
何だソレ。
ってか少年、私の精神分析をするな。
「あの、私の本来の性って何ですか」
自分で考えてもわからないから聞いてみた。
「僕は…多上さんの優しさ、だと考えている」
優しさ…か。
学園長先生や孤児少年にも言われたな。優しいって。
性格と本来の性の乖離。
仮に、仮に私が優しいとした場合、
優しさを甘いだけとする性格があるわけだ。
…うん、私はそういう性格だ。
でも優しい、か?
「多上さん、多上さんって小さい頃どんなだった?」
「んー小さい頃限定で純粋で、人に優しかったかなぁ…」
「じゃあ自我が芽生えるにつれ出てきた性格が、その本来の性を覆い隠してしまったとしたら?」
…………。
子供というのは純粋だ。
時に残酷と言われる程素直だ。
自我が芽生えれば性格も形成される。
その時に本来の性が一切変質していないとしたら?
性格が本来の性の上に乗っているだけだとしたら?
………………。
………
……
「そういう事なんじゃないかな」
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