無関心でありたいのにいられない | ナノ


▼ はじまりは簡潔に

「どうしてここにいるんだ…」

私は頭を抱えてしまった。
表現上の言葉ではなく、リアルに、だ。
そのくらい私は混乱している。
多分、私史上一番混乱しているだろう。

といっても別に、目が覚めたら知らない土地に…。とかそういう理由ではない。


私は色々あって世界とおさらばした。




「もう少しで学園長先生が来られますよ」

……はずだったんだが。
ど う し て こ う な っ た 。

どうして私は忍たまの世界にいるんだ。

確かに二次元行きたいとか言ってたよ?
忍たまも好きでアニメ見てたよ?

でも…………この先が重要である。

二次元が現実になって自分が当事者になっちゃ駄目だろぉぉぉおおおお!!!!

隣でニコニコしている善法寺少年を殴りたい衝動に駆られるが、ぐっとこらえて「そうですか」と適当に答えた。

善法寺少年曰く、私は外に落ちてたらしい。
落ちて『来た』だったら完全天女だね。
危ない危ない。
とりあえず、下手な話題を振られると面倒なのでそれだけ聞くと世に言う『話しかけんなオーラ』を出して真逆の方向見てやった。
それきり話しかけられなかったので少々良心が痛むがいいとしよう。

というか忍たまでトリップって、以前天女が来て学園を荒らしていったとかあったら死亡フラグですね、わかります。
…ってわかりますじゃない。納得いかん。

とか考えているとボフッ!と音がして辺りに煙幕が立ち込めた。
おぉ、生で煙幕見るの初めてだ。

…感動してる場合じゃないですよね、ハイ。

そしてこの登場の仕方…

「お主が新しい天女様かのぉ」

はーい皆さん当たりましたか?
正解は皆大好き学園長先生でーす。
え?皆予想していたからさっさと進めろ?
はっはーやだなぁ
現実逃避に決まっているでしょう。
あの人第一声が「新しい天女様か」だよ?
一瞬『あるぇ〜?耳つまったかなぁ』とか思ったから。
第一声って普通挨拶か(倒れて…いや落ちてたから)大丈夫かどうかを訊くとかそこら辺だよ。
それなのに「天女」って。
え、何?天女フラグ?イコール死亡フラグ?
あ、もう死んでたわ。

いやいや、とりあえず死ぬ時は眠るように死ぬと決めている。
殺されるなんてもっての他。

脳内で大会議が行われているが口では「天女?そんな大層なものじゃありませんよ」と受け答える。

「ふむ…まあ良い。お主、行く宛は」

「ありません」

「ならここにいるがよい」

その言葉を聞いて表情筋がひきつるのがわかった。
表情に出しちゃダメじゃないか自分。
次の瞬間には無表情に戻ったはずだから見間違いだと思わないかな。
…忍者相手じゃ無理か。
それにしてもさっき反射的に「ありません」と言った自分を殴りたい、切実に。

さて、思わず表情筋がひきつってしまった理由を説明しよう。
名前もまだ聞いていない女の子に『行く宛が無いなら置いてやる』発言をするなんて、夢小説でよくある、天女が課題にされている場合ぐらいですね、ハイ。
つまり課題になるぐらい天女が来たということは…。

生存フラグゼロ(笑。
わぁすごい。一回死んでいるから何も怖くないよ。


そして悲しいかな、お世話にならないと(監視とか時代差とかで)生活困るのは事実。
だから、お世話になろう。
あっさりすぎる?潔いのが取り柄ですから。
それに…

彼らに無関心でいればいいじゃないか。

ってことで挨拶。

「すみません、申し遅れました。私は多上みさきと申します。何卒よろしくお願いいたします」







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