無関心でありたいのにいられない | ナノ


▼ Re:会計委員会

「そうだな…」

少年Cは何かを考えているのか天井に目をやった。

「お前の言葉を借りりゃ、あのまま死なれちゃ後味悪いからだ」

いや、私が聞きたいのはそんな所じゃない。

そこを尋ねたら逆に色々問い詰められるかもしれないが、そうじゃないと聞き出せない。
はっきり言って賭けだが、やってみるか。

緊張を解くために一度溜め息を吐いた。

「あなた達にとって『天女』は決して歓迎される存在でないはず。
 私が死んだ方があなた達には良かったのでは」

自殺行為だとわかっている。

だが私の予想に反して少年Cは驚きもしなかった。
どういうこと。
Cはじっと考え込んだ後、口を開いた。

「自分の命捨てようとしてまで左門を助けたんだ。
 悪い奴じゃないと判断した」

だからといって良い奴だと判断したわけじゃないがな、とつけ足した。
まぁそうだろうな。
正直私もその方が気が楽だ。
しかしそれを素直に言わず、どう返そうか悩んだ後、「そうですか」とだけ言っておいた。

先程から少年Cも私も発言前に考える時間がある。
恐らくCも私と同じく何を話し、何を隠すか考えている。
だとしたら少年Cは何を隠している?

「俺からもう一ついいか」
「え、あ、はい、どうぞ」
「お前、どうして気配が無いんだ」
「……」

気配が無い、か。
それを聞いて『可能性』の一つだったものが『確信』へと変わってしまった。
そう。なんとなく予想は出来ていた。

こっちに来てから一週間程経ってからの、前回の書類配布の時。
用具の食満。天女と話すんだったらバッチリ表情を作るはずだ。
生物の伊賀崎。後ろにいたのに気付かなかった。
学級…何トカの尾浜。障子閉める時にようやく気付いた。
先の件の神崎。目の前を横切ったのに気付かなかった。

そしてさっきも。
生物の竹谷。主にここで自覚した。
火薬の久々知。斉藤少年には気付いたが私には気付かなかった。

思い出してみると心当たりがありすぎる。
気配が無い理由は恐らく、

「内緒、です」

私が死んでいるからだ。









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