無関心でありたいのにいられない | ナノ


▼ グレーゾーンの人物

目が覚めて最初に見たのは一週間ちょっと前と同じ天井だった。

いつ来たのだろうと、どうしてここに寝ているのだろうと不思議に思い、気を失う直前の事を思い出してみる。

確か私は町行って、孤児少年と会って、戻る途中で神崎少年と会って、少年を追って…、助けて、崖から落…ち……た…
はずなのに何でここにいる。
死ななかった?あの高さから?助けられた?殺そうとしているのに?
…要約すると上と同じく『どうしてここにいる』だ。

普通に考えて助けられたのだろうが如何せん、私は『天女』だ。
そのまま放っておいて死んでもらうのが彼らにとって良いはずだ。
私を助けた所で何のメリットも無いのに何故。

考えてもわからないし、少し外の空気を吸おう。
上半身を上げ…

「…まさか動こうとしてませんよね?」

ようとしたら障子が開いて黒い笑みの善法寺少年が現れた。

「…いえ」

なんてタイミングだ。計ったろ。絶対に計ったろ。
引きつった笑みを浮かべながら若干浮いている背中を元に戻した。
何だ動くのNGなのか。別にどこも違和感無いんだけど。
でも人が来てくれたのは謎を解くいい機会だ。

「すみません、何で私助かっているのですか」
「…」

善法寺少年は何かを考えているのかあごに手をあてた。
考えるような内容なのかよ。

「…上級生が近くにいたから、その人が君を助けたんだ」
「はぁ…」

善法寺少年の敬語が消えた。謎だ。
それにしてもオブラートに包み過ぎだろ。上級生としかわからん。
そして助かったんならどうして動いちゃいけないんだ。そして年上に『君』はねーよ。
何訊いてもこんな感じなのかと思い、すっかり訊く気が失せた。

会話せずにどれくらいが過ぎた頃だろうか。

「…課題が」

私が黙っていると弱々しく少年が切り出した。

「課題が取り消されたんだけど…僕は、君を信じたいんだ…」

普通ならここで『ありがとう』とか言って泣いて喜ぶのだろうけど、このひねくれ者はそう考えられません。

学園全体グルで善法寺少年をエサに私を殺そうとしているじゃないか?学園長先生に色々話すんじゃなかった。
と一番最初に考えた。
次に考えたのが年上に『君』はねーよ。
その次に何で私が課題知っている事前提なんだ。
あれ、それじゃあ一番最初に考えたの有力じゃないか。ということ。
ずっと下向いて視線を合わせないあたり怪しい。

とりあえず善法寺少年に「それはどうも」と言っておいた。








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