無関心でありたいのにいられない | ナノ


▼ ある少女の昔の話

私は至って普通の家に生まれた。
優しい父に美しい母。そう考えれば割と幸せな家庭だったのかもしれない。
私は小学生の頃まで二人と一緒に暮らしていたんだ。
小学生……7、8歳の頃って言い換えておくよ。

そう。『まで』だ。

冬の道を家族で散歩してたら車…そうだな、牛車と考えてくれて構わない。
車が雪で滑って私達の方に突っ込んで来た。
その時の事はあまり覚えていないが両親は私を守って死んだらしい。

…ああ、少し訂正をしよう。白い雪と赤い血の妙なコントラスト…色合いははっきり覚えている。
葬式の事だって覚えていないのにそれだけは覚えているんだ。

両親が死んで、私は祖母の家に行った。
祖父はもうずいぶん前に他界していて、祖母は一人暮らしだった。
そんな祖母は私が来て喜んでいたけれど、当時私は十にも満たない子供だ。
手伝いをしても手間の方が掛かるに決まっている。
両親が死んだ翌年、老衰と過労で祖母も死んだ。

その時から私は親戚の間をたらい回し。
お陰でこんな性格になったよ…って言ってもあの人達が悪いワケじゃないんだけど。
それぞれの家庭を持っているのに私という異分子が突然入って来るんだ。歓迎しないのは普通の行動だよ。

…そう。誰も悪くないんだ。

高こ…16歳になってから、両親の友人の支援で私は一人暮らしを始めた。
え?…いや別に私のいた所では女性の一人暮らしは珍しいものではなかったよ。

それでその後色々あって……
いや、君に言うような事ではないな。

あえていうなら色々あってここに来た、かな…。





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