無関心でありたいのにいられない | ナノ


▼ たまには気分転換も

学園長先生に全てを話した後、内容が内容だっただけに気分転換に町に行ってこいと言われ、お使いも頼まれた。
どっちがメインだ、学園長先生よ…。
ついでにヘムヘムが私の落ちていた場所に案内してくれるらしい。

少年Kの出門表に私とヘムヘムの名前を書き、外に出て少し歩くと、私が落ちていた場所をヘムヘムが示してくれた。
ヘムヘムの役目はここまでであるが、一緒に付近の探索をしてくれた。

ヘムヘムが帰ってしばらくしてからも周辺をこれでもかというほど調べたが、物も落ちていない、ましてや死んでここに来た理由も解らなかった。
もうわからないから町行こう。と思って足を踏み出したら、

「おっと」

草が茂っていてよくわからなかったが、崖になっていた。
とっさに後ろに重心を持っていったから落ちる事はなかった。
でもヒヤッとしたぞ。危ないな、ここ。覚えとこ。



町は人で賑わっていた。
学園長先生からのお使いの品も買った。饅頭だった。
お金は少し多めに貰っていたので自分用にも一個買った。

ついでに町の中をぶらぶらしてみる。
気分転換って言ってたから別に少し遅くなっても構わないだろう。

しばらく歩いていると、道端でしゃがんで俯いている少年を見つけた。
学園では見たことのない顔だ。この町の子だろうか。
そのまま歩き去っても良かったのだが、何故だか放って置けなくて少年の目の前にしゃがみ「どうした」と声を掛けるとバッと少年は顔を上げた。
突然の事に驚いたのか少しの間固まっていたが、口を動かし始めた。

「は…腹が減ったんだ」
「家は」
「父さんと母さんと一緒に焼けた」

家に食料がないのかと思って訊いてみたが、デリケートな所だった。
この少年、きり丸少年の様に孤児か…。
何やってんだ、と自分にため息を吐き、少年に自分用に買った饅頭を差し出す。
少年は戸惑っていたようだったが、空腹に耐えられなかったのか私の手から奪い取る様にしてから饅頭にがっついた。

それにしても、この少年を放って置けない理由がわかった。

「少年、私の昔話を聞いてかないか」

自分に、似ていたからだ。

そうして私は学園長先生に話した話を一部カットで語り始めた。






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