無関心でありたいのにいられない | ナノ


▼ 理解もできるし納得もできるが

朝食を摂っている時に少年(顔は見なかった。お礼は言ったから別にいいだろう)が「学園長先生が呼んでいた」と言ってきた。

初日に会って以来、学園長先生とは一度も会っていない。
その学園長先生が私を呼ぶなんて良い話か悪い話のどちらかに決まっている。
腹切る覚悟で行ってくるか。




「すみません、多上ですが」
「おぉ、入れ」

「失礼します」と言って部屋の中に入り、とりあえず学園長先生の前に座った。
高校入試の面接思い出すな…。
正座ではなかったけれど。
なんか今更緊張してきた。早く終わらせて頂きたい。

「あの…」
「ちと待て」

学園長先生が天井に目をやり、二人きりで話をさせてくれ、と言った。
天井裏に誰かいたのか。気付かなかった。
しばらくしてから学園長先生は再び私の方を見た。

「わしはな、お主についてもう疑ってはおらん」
「はい…?」
「今までの天女様とは違う、ということじゃ」
「はぁ…」

つまり学園長先生は私が他の天女と違い、学園に危害を加えないと判断した、というのであっているだろう。
でもそれは学園長先生一人であって、他の人はまだそうならないだろう。
その旨を伝えると、

「すまぬ」

と謝られた。
学園長先生が謝ることではないだろう。
それに…


「誰も悪くないのはわかっています」

わかっているから
どうしようもない現実が歯痒いんだ。


学園の人達は天女によって疑心暗鬼になった。
天女と呼ばれた子達もその子達の周りの環境によってそういう性格になった。
その環境でさえもまた一回り大きな環境によってそうなった。
私だって不条理な現実に耐えられないから二次元に逃げた。更には死んだ。

理由を突き詰めてもキリがない。

「だから、私に対する態度を別に気にしていない…とまでは言いませんが、文句を言う気は全くありません」

驚いた顔で学園長先生は私を見、その後笑いだした。

「優しいのぉ。それにしっかりとしておる」
「優しいんじゃありません。

  ただ単に甘いだけですよ」






prev / next

[ back to top ]



「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -