「約束しただろ?お前を守るって」
「……うん」

だから、大丈夫だと。
そう伝えると、リディアの身体から緩やかに力が抜けていく。

もたれかかるように寄り添った身体は隙間なく、ぴったりとエッジの腕の中に収まって。
『約束だよ』、と漏らすリディアの声が、鼓膜を震わせ、胸の内まで甘く甘く響いてくる。


ああ、もう――
どうして、こんなにも愛しい存在が居るのだろう。


戻ることなど許されない、ただ進むしかない時間の中で、選択してきた道に決して後悔は無いけれど。

唯一望むものがあるとしたら――彼女を守りたい。
それはいつまで、自分に許される事なのだろうか。

夢は夢。叶わないと知っていても、人は懲りずに夢を見る。

それでも、この瞬間だけはどうか――真実であるようにと。
柔らかな髪に顔を埋めて、エッジは力一杯にリディアを抱き締めた。


今確かにここにある温もりを、決して離さないように――





end.



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