2*

「赤司くん。改めて、お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう、テツヤ」
ソファに座った赤司の足の間に入った黒子が、大切そうに抱き締める。
「嬉しそうだな」
「えぇ」
結局あれから、陽泉高校の門限ギリギリまで全員で騒いだ。誰も口に出す事は無かったが、3年間苦楽を共にした者の心にあるものは同じだということを再確認させられた。信じる道は違えども今はそれだけで充分、と黒子の顔が緩む。
「それにしても、豪華ですね……」
洛山高校が宿泊するホテルは、とても高校生が遠征で使うようなものでは無かった。
「一軍だけだ」
広い室内を物珍しそうに見回す黒子に、赤司が苦笑する。
「いい加減、僕を見てくれよ」
「わぁっ!」
赤司は腰に回した腕を引いて黒子を抱き寄せた。
「そ、その位置は色々とマズいです」
「ん?あぁ……」
何の事かと視線を横に向けた赤司が笑う。
赤司が身を屈めて抱き付いた位置は、ちょうど立っている黒子の股間だった。
「マズいのか?」
赤司は上目遣いに視線を黒子と合わせたまま、猫が足元でするように頬を股間に擦り寄せた。
「ッ……」
その淫靡な仕草に、黒子は思わず息を詰める。
「それで、テツヤは僕に何をくれるんだい?あぁ、お前自身っていうのは無しだ。元々テツヤは僕のモノだしね?」
「赤司くんのモノになったつもりは微塵もありませんでした……って、ちょっと!」
会話の最中も股間に頬摺りしたり、ズボンの上から食んでくる赤司の顔を黒子が押し退けた。
「可愛くないな」
「僕は元から可愛くなどありません」
黒子はそう言って頬を膨らませる。
「撤回する。可愛い」
赤司はクスクスと笑って、自分の頭を押し付ける手を掴んで甲へキスをした。
「思い出、だろう?」
「…………えぇ」
あの強力なパスを繰り出すとは思えないほど細い手に指を絡める。
「悩みました。これは完全に僕のエゴです」
絡めた指に力が籠もった。
「こんな事でも無ければ君達は集まる事なんて無いでしょう…………なにより僕は」
「あのころを望んだ?」
「いいえ。君に笑って欲しかった」
赤司は黒子が望むものを与えたのも、奪ったのも自分だと自覚している。それでいて黒子が自分から離れないように仕向けた。その全てを理解した上でここにいる黒子を赤司は心から愛しいと思う。
「少しは楽しんで頂けましたか?」
赤司は不安げな黒子の手を引いて、隣に座らせた。
「今日は玲央……今のチームメイト達に夕食を誘われていた」
「え!?そんな……」
「いいんだ。それを断って、僕はこっちを選んだ」
驚く黒子の顎を掴んで口付ける。
「テツヤを選んだんだよ」
吐息と共に紡がれた言葉に、今度は黒子からキスをした。
「ン……今度は僕とテツヤだけの思い出をくれよ」
「分かりました。でもひとつだけ訂正を」
「なんだい?」
「僕が赤司君のモノではなく、赤司君が僕のモノなんです」
「どうかな……」
赤司が誘うように微笑むと、男の顔になった黒子が赤司を押し倒した。


            *


「ンッ……ァ、テツ……ャ……ッ」
広いベッドの上。
寝ている黒子の上に赤司が逆向きで跨る、いわゆるシックスナインの体勢をとっていた。
「ほら、赤司くんもきちんと舐めて下さい」
「ふぁっ!」
黒子の指がローションで濡れたアナルに差し込まれる。
それだけで赤司のペニスは、黒子の胸元に先走りをぽたぽたと垂らした。
「止めますよ」
「ンンッ!」
挿れたばかりの指を乱暴に引き抜かれ、赤司の背が反り返る。
「ぁ……や、めな……で……んぅ……っ……」
赤司は尻を黒子に突き出して強請りながら目の前のペニスを口に含む。快感で涙を浮かべ必死に愛撫する姿に、黒子のペニスからもトロトロと先走りが零れた。そこへ追い打ちを掛けるように、スイッチが入った赤司の愛撫が激しくなる。
「あ、かしっ……くん……っ」
裏筋をなぞるように何度も舐めあげ、溢れた汁を啜り、尿道へ舌をねじ込む。
「っむ!……ぁふ……テ、ツ……ヤ……」
負けじと両手の親指を挿れた黒子が、左右へ拡げてピンク色の粘膜を直接舌で愛撫する。
「ヒッ!ゥ……ァ……ンンッ……んうっ」
うねる舌が内壁を刺激し、ちゅるちゅると吸われて赤司は内股を痙攣させて吐精した。
「ッア!」
ほぼ同時に黒子も赤司の咥内へと射精する。
「……んっ」
ジュルッと音を立てて黒子のペニスが口から抜かれた。
体を起こした赤司が振り返り、黒子の顔を両手で掴む。
「赤司くん……まさ……ッン!」
最後まで言い終えないうちに赤司の唇が重なって、口内へ自分が出したものが流し込まれた。唾液で薄まった精液を飲み込みながら舌を絡める行為は酷く興奮し、お互いの股間を擦り合わせた。
「ッ……はっ……赤司君、変態ですね」
「んっ……テツヤこそ。自分の飲まされて勃つなんて」
既にどろどろの股間は滑りが良く快感を生むが、今二人が求めているのはそれ以上のものだ。
「テツヤ……挿れて」
「ここを綺麗にしたら、挿れて良いですよ」
ここ、と先ほど赤司が汚した胸元を指さした。
「お前は性格が悪いな」
「君ほどじゃありません」
渋々黒子の胸に舌を這わせる。自分のものの苦みに顔を顰めつつ、露わになった黒子の乳首に吸いついた。
「ンッ……そ、こは、いいです」
黒子が頭を押し戻そうとするが、赤司は無視して乳首を甘噛みし、周囲を舐めて痕を残す。
「綺麗になったな」
赤司が顔を上げるころには精液で濡れていた胸元が、いくつもの赤い鬱血に彩られていた。
「……最低です」
「舐めろと言ったのはお前だ」
「吸って良いとは言ってません。ユニフォームから見えたらどうするんですか!」
「さぁな」
「全く、君って人は……」
黒子は体を起こすと、赤司を布団に組み敷く。
「やっと本気になったか?」
「後悔しても知りませんよ」
「受けてたとう」
不敵に笑った赤司のアナルへ黒子のペニスが押し当てられた。
「ンアッ!ふっ……ぁ、ゆ……くり……」
一気に根元まで挿れられ、弓なりに体を仰け反らせる。
「散々煽られたんで。あまり我慢出来ません」
「ンンッ!ゥ、ァ……テ、ツヤ……」
激しい動きに赤司はシーツを掴み、口端からは涎を零した。黒子は屈んで唾液を舐めとると、そのまま首筋から鎖骨のラインをなぞるようにキスを落とす。そして自分が付けられた場所と同じ位置に、朱を残した。
「ッ……ふ……っぁ……」
固くなった乳首を吸うと内壁もキュッと締まる。
「ァ、っ……あか、し、くん……」
赤司の太股が震え、お互いの限界が近いことが分かった。
「テ、ツヤ!も、おねが……っ」
「ン……は、いっ」
黒子が腰を激しく打ち付け、同時に赤司のペニスを扱く。
「ッ……ンアァァァッ!」
一際大きく赤司の背中がしなり、黒子の手を汚す。
「ふぁ……あかし、くん」
黒子も最奥を抉ってキュウゥッと締まる胎内に射精した。


            *


「ン……ッ……ふ……」
シーツに包まり、両手を繋いでキスをする。
チュッと音を立てて唇が離れると赤司の視線が真っ直ぐに黒子へと向けられていた。
「明日からは敵だな」
「はい。赤司くんと戦うの、楽しみにしています」
「ハハッ!ということは決勝まで残るつもり?」
「いえ。優勝するつもりです」
思わぬ言葉に赤司が一瞬止まった。黒子の目が本気だと語る。
「そうか……では覚悟を決めないとな」
「え?」
覚悟など常にしているものだと思った黒子が訝しんだ。
「なんでもない。待っているぞ」
「……はい」
赤司ははぐらかして両腕で抱き込み、色素の薄い髪に顔を埋めた。


            *


12/23 開会式前

『僕が赤司君のモノではなく、赤司君が僕のモノなんです』
依存しているのがどちらか分からなくなったのはいつからだろう、と赤司が自嘲気味に笑う。
「分かっているよ、テツヤ」
芯まで凍えるような、真冬特有の強い風が伸びた赤い髪を乱した。




黒赤は、どちらからともなく故意に髪型を似せていたら良いな、と!
そして黒子との決別(庇護→対等って意味で)にオヤコロしてたら良いな、と!
赤司様、お誕生日おめでとぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!


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