04


落ちた際にどこかしこ打ったらしい。ずきずきと全身が痛む。地面にへたり込んだまま、私がこうなった張本人を見上げる。首が痛い。

「すまない、驚かせた。しかし、はやく起きろというから」
「カ、カゲロウ、あなた、いつから…それに、記憶も」

とにかく主任に連絡を、と言うと、待ってくれ、と慌てたように彼が声を上げた。

「すまない…まだ、混乱していて。落ち着くまで待ってくれないか」
「わかっ、た、いたたた」
「だ、大丈夫か」
「立てないぃぃ」

どうやら足も捻っていたようで、立ち上がろうとして、再びずるずると座り込んだ。はあ、と息をつき、足場に寄りかかりながらカゲロウを見る。心配そうな顔をされていた。

「私も痛みが引くまで動けないから、待っててくれる?」
「ああ、分かった…すまない」
「謝ってばかりね」
「すまな…う」

口を噛んだカゲロウに、少し笑った。まだコードがたくさん繋がれたままだ。身動きが取れない彼と、同じく動けない私。なんだろう、この状況。

「その…話をしないか」
「そう、ね、それがいい」

何の話をしようか、と聞けば、俺が眠っていた間の、と言う。どうやら長くなりそうだ。こっちも聞きたいこと、沢山あるんだけど。



「…つまり、他の皆にはもう、超AIは必要ないのか?」
「そう。でも体が機械であることに変わりはないから、私たちみたいな技術者は必要だけど」
「それで、俺は」
「超AIとボディがバラバラだったから…今のあなたがどんな状況なのかは、詳しく検査してみないと分からない」

まあ藤堂主任のことだから、こちらで機能停止させてみるなんてことはしないだろうけど。そう言えば、どこかほっとしたような、複雑そうな、不思議な表情をしていた。

「そろそろ主任に連絡しなきゃね…大丈夫?」
「ああ」

ずるずると足を引き摺りながら、離れたデスクに置いていた携帯の元へ行く。もう寝てしまっただろうか。数回のコール音の後、電話に出てくれた主任に状況を話すと、受話口が壊れそうなほどの声が聞こえてきて、カゲロウもビクリとしていた。






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